年の感じだとお孫さんと思われる赤ん坊を乳母車に乗せた女性が前方からやってきた。そして信号も横断歩道もない小さな交差点に差し掛かるとその女性は、目ん玉をひんむきながら「ほ〜ら、みぎよし、ひだりよし、だいじょ〜〜ぶ」と、首を左右に大きくふりながら車が来ないのを確認していた。非難を承知で言いますが、おまえが大丈夫かっておもったさ。どうも母親などが子供をあやしたり、諭したりする時のあの口調が苦手だ。子供にとってあれはいい効果があるの?母親学校とかで教えてんの? 普通にしゃべってはいけないのだろうか。そんなことを思いつつ Maston を聴けば、これまた少々過剰な演出が目立つのでした。インスト曲を挟みながらの60年代を思わせる音楽で構成されているのですが、ノスタルジアを煽るようにイメージ・ソングが合間合間に流れ、サーフサイケ・ポップ風な唄入り曲でまとめられている。オルガン系の音色が全体をセピア色の枯れた感じで包み込み、Frank Maston の歌うメロディは物憂い雰囲気を醸し出している。インスト曲とそうでないものに基本的な違いはないですが、それが入ることによって、ソングライター作というよりは、楽曲に耳が傾く内容。なので、唄もの系と思わせておいて、そうでもないような感じがあります。ただ、全体としてはあまり多くの印象を残せてはいないかな。
5.5/10