なんか急に盛り上がってきたと思ったら、一気に Matador と契約になったデンマークのこの Iceage です。デビュー作がそこそこ注目を集めたけど、ここまでの扱いになるとは想像していなかったぁ。改めて最近のメディア効果のスピード感はハンパないなと実感しました。周りが騒ぐ大きな理由はまずメンバーが若いことも挙げられるでしょう。デビュー当時はまだ18とか19とか、みんな10代だったからね。その子達がちょいと陰に向いているハードコアやパンクをやっているのが興味深く見られたのでしょう。そしてカリスマ性があるように感じられたかなんかで、新たなアングラ界のヒーロー候補にちょっと過剰に煽れている感じがある。音楽自体はそこまで個性的でもなければ新しくもないし、このバンドが評価されるなら、今の時代にもこのくらいのハードコア・バンドは沢山いるように思えるのが正直なところ。表面的な感想としてはそんなかんじだけど、もう少し踏み込んで彼等の音楽を聴いてみる。なるほど、どこか後ろ髪を引かれるような余韻を残してって、いわゆるハードコアなバンドだけの要素ではないことに気付く。最後の最後で、エモい曲が登場するけど、基本的には切なくてなんかの痛みがある音。そういうと若者が抱える色んな思いを汲みこんだ音楽と思われるかもしれないが、そうじゃなくて音楽的にただそう感じるだけです。繰り返し聴いていると、ここまで評価を受けるそれ相当の魅力はちゃんとあるのは判った。だけど、彼等が一番評価されている最大の理由は、現在のアメリカにこのようなDIYなハードコア・シーンや拠点が無くなっていることが要因なんじゃないかな。デンマークで起こってるシーンがちょっと美しく見えたんでしょう。
7.5/10