Eamon Ivri – In The Red Eye of the Evening

アイルランド出身のエクスペリメンタル・エレクトロニック・プロデューサー、Eamon Ivri（イーモン・イヴリ）が、著名なLighghtの別名義を捨て、自身の名義でデビュー・リリース。

コーク出身のEamon Ivriは、エレクトロニック・ミュージックにノイズを取り入れたユニークなサウンドで知られ、新作『In The Red Eye of the Evening』では、ヒプノティックなソロ・ミュージックを次々と発表。アイヴリはこのアルバムのインスピレーションを「薄明かりと交錯する夜の妖しい色合い、濡れた草むらを照らす車のヘッドライト、煙で見えなくなった人、消された場所、催眠術のような、うめきときらめき、きらめきと霧」と書いていますが、このリストは暗号のように見えるかもしれませんが、『In The Red Eye of the Evening』の音楽を掘り下げると、このような夢のようなイメージから具体的な音楽性を引き出すアイヴリの巧みな能力が明らかになります。

このレコードには、ゆっくりと崩壊していくシンセのメロディ、泡のようなウィンドチャイム、重く加工されたダイアローグの断片、ノワール調の空き街の口笛、そしてサウンドデザインともフィールドレコーディングとも、あるいは私たちの想像力ともとれる、不思議な音色を持つ人工物が、夢遊病のように陶酔的に漂っています。瞑想的なアンビエント・ミュージックのような癒し系ではなく、穏やかで小康状態を保ちながら、うっとりするようなサウンドを聴かせてくれます。例えばウィリアム・バロウズのカットアップのように、このトラックの意味や形式はそのレイヤーの中で不明瞭かもしれませんが、想像力にささやく限りなく人間的な何かがあります。