メンバーが増えるパターンは色々あるが、追加されたメンバーが効果的に作用するかどうかは一概には言えない。なかにはただの彼女じゃね?って位の存在の人もいたりと、色々と事情はあるのでしょう。ベルファストの Girls Names はそれまでトリオとして活動をしていたが、今作を前に一人追加して、カルテットに増強。このパターンってあんまりないような気もするんですよね。トリオっていう編成は物凄い信頼関係が強くて、それ以上でも以下でもない音楽を演じることが可能な奇跡の編成でもある。それを崩してまで追加したかった真相はわからないが、このアルバムを聴くにその決断は正しかったと思う。不思議なのは、以前よりもバンドとしての音楽性が凝縮したこと。メンバーが増えれば当然音楽自体も多様なものへと向うのが自然だし、そう思うもの。だけど、Grils Names は異なる結果に到達した。これは異例とも言えるんじゃないでしょうか。アルバムを通して聴くと、一定のやり方があって、曲の速度が違う程度で変化に富む内容ではない。でも全く飽きることはないのです。ほんの些細な部分かもしれないが、スネアの音にエフェクトをかけている感性とか、凄く突き刺さる。ポストパンクとニューウェーヴの向こう側を見せてくれたアルバムかな。
9.0/10