Mordecoli – Ch​â​teau Mord​é​coly

Ecka Mordecai（エッカ・モルデカイ）とValerio Tricoli（ヴァレリオ・トリコリ）のイギリス／イタリア・デュオ、Mordecoliのデビュー作。この2人の旅人はそれぞれ、幽玄なムジーク・コンクリートの道（トリコリ）と、質感のあるチェロの放浪の道（モルデカイ）を切り開いてきた。アルターは、2人の音楽家（そして友人）が、それぞれの探求の中間点を探るために結集したアルバム『Château Mordécoly』を発表できることを誇りに思う。ロンドンのカフェ・オトでの赤ワインに誘われたレジデンスの成果である『Château Mordécoly』は、モルデカイの声、チェロ、ピティッシュ・ハープによる音の身体性と、トリコリのリボックス・テープ・マシーンによる人工的な操作の両方を探求するパノラマ・オーディオ・フィールドである。物理的な「本物」と歪んだ「新しいもの」の間の微妙な緊張感は、このリリースをほろ酔い気分のレジデンスをはるかに超えて、時代の潮流を取り入れた一流のエレクトロアコースティック作品へと昇華させている。ソロ・チェロとヴォイスは、時の音色に根ざしているように見える。磁気テープは友人であると同時に密かに操るものでもある。物理的な要素は、最初の問いかけから展開される幻想的なオーディオを伝播する手段として、姿を変えることに自らを開いている。現実と非現実の境界線が出たり入ったりしながら、バトンの受け渡しが共生する。その結果は、落ち着いたものであると同時に、衝撃的であり、破壊的でもある。モルデカイの演奏と歌の繊細な美しさが、遊び心にあふれた非日常的な風景へと変容していくにつれ、幻想的なファンタジーの世界が展開していく。これらの錬金術的な変容から生じる視覚的な刺激が、お化け屋敷から中世までを呼び起こし、エポックが呼び起こされる。超現代と深く広大な過去との結婚の、洗練されたモダンな心象風景。天の雲は、異教徒のイギリスの中で戯れるイタリアの教会とその蜘蛛の巣のようなものの明確な共生を明らかにする。