Barker – Unfixed EP

Sam Barkerが、2020年の『BARKER002』以来となるソロEPをオスロのSmalltown Supersoundからリリースした。バーカーの前作（2018年の『Debiasing EP』、2019年の『Utility LP』）がキックレス・ダンスフロア・トラックの可能性を追求したのに対し、『Unfixed』では音楽的方程式を逆転させ、キックドラムの可変性とサウンドの可能性の両方を追求している。

この4つのトラックは、バスドラムのデザインと認知の技術的な研究として始まったセッションから生まれたもので、特に、ある物体の使い方を従来の用途に限定してしまう精神的なブロックを表す「機能的固定性」の問題から生まれた。いわゆる “ジェネリック・パーツ・テクニック “と呼ばれる、ある物体を構成するパーツに分解することで、斬新な解決策を導き出す手法を探求し、波形、トランジェント、ノイズといった典型的なバスドラムの要素を、モジュラー・シンセシスによって再び組み合わせ、流動的で表現力豊かなダイナミックなサウンドに仕上げた。

しかし、ルールに基づいた実験として始まったものは、特定の概念的な制約のない、より有機的な音楽制作プロセスによって覆され、音楽が生き生きと呼吸するようになった。曲は着手しては未完成のまま放置され、長い時間をかけて何度もアプローチされた。スタイル的には、生々しく、吃音的で、サイケデリックなうなり声、コスミッシェ・テクノ、無限の反復、そしてひとつのグルーヴがミックスされた結果となった。この点で、『Unfixed』はバーカーが音楽的実験に深く傾倒しているだけでなく、作曲とサウンド・デザインの両面で自身の偏見を探求していることがわかる。その結果、再び彼独自のサウンドと音楽の枠組みが生まれた。