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アルメニアの血脈と失われた声を巡る旅。ブルックリンの才媛 Nara Avakian が、7分の叙事詩「Tucson」と共に描き出すセカンドアルバム『Tearless, thoughtless』の深淵

ブルックリンを拠点とする4人組バンドNara’s Roomが、5月15日にMtn Laurel Recording Coからセカンドアルバム『Tearless, thoughtless』をリリースすることを発表。あわせて、アルバムのエモーショナルな核となる7分間のバラード「Tucson」を公開した。2024年のデビュー作『Glassy star』に続く本作は、全11曲で構成される。

新曲「Tucson」は、中心人物のNara Avakian(they/them)が、自身のルーツであるアルメニアの伝統と個人的な歴史を織り交ぜた楽曲。Linda Ronstadtのドキュメンタリー映画のラストシーン——彼女がトゥーソンの自宅で家族と歌う姿——にインスパイアされており、声を失った彼女の苦しみと自身の葛藤を重ね合わせながら、世代間のトラウマやアルメニア人虐殺、故郷とアイデンティティの喪失といった重層的なテーマに向き合っている。

歌詞には、中東の哀歌やセルゲイ・パラジャーノフの映画『ざくろの詩』へのオマージュなど、多様な文化的背景が引用されている。自身の名前がアルメニア語で「ざくろの深紅」を意味するという個人的な繋がりも、アルバム全体を貫く自己の在り方や継承への探究心と密接に結びついており、極めて内省的かつ壮大なスケールの作品となっている。