Sun June – Bad Dream Jaguar

ARTIST :
TITLE : Bad Dream Jaguar
LABEL :
RELEASE : 10/20/2023
GENRE : , ,
LOCATION : Austin, Texas

TRACKLISTING :
1.Eager
2.16 Riders
3.Mixed Bag
4.Moon Ahead
5.Ambitions
6.Bad Dream Jaguar
7.John Prine
8.Sage
9.Washington Square
10.Get Enough
11.Texas
12.Lightning

のサード・アルバム ‘Bad Dream Jaguar’ の最初の2分間は、回想録のようだ。Laura Colwellの歌声がゆったりとしたシンセの上に浮かび、ほろ酔いの孤独感、ぼんやりとした回想、誰もいないダンスフロアのために夜の終わりに回るディスコ・ボールを思い起こさせる。 Sun Juneの音楽は、しばしば共有された記憶のように感じられる。曲の端にあるディテールに触れることができるほどだ。オースティンを拠点とするプロジェクトである彼らの音楽は、常に奇妙に、そして特別にテキサスに感じられるものだ。ゆったりとした時間の流れ、ありえないほど広々とした空間を横切る長距離ドライブ、暑さの中で舗道からゆらめく屈折。

しかし、’Bad Dream Jaguar’ では、Sun Juneは孤立無援だ。テキサスの背景は、憧れ、距離、はかなさ、そして静かな恐怖に取って代わられた。 唯一の確かな感覚は、濁った過去から来るものだ。かつての自分、住んでいた場所、世代間の呪い、家族の明確なイメージがあるが、未来は広大で不明瞭に感じられる。

Hi-FiとLo-Fiが混在している。バンドがレコーディング・セッションを前に猛スピードで習得しなければならなかった “Texas” のように、ファースト・テイクで録音された曲もあるし、”Eager” と “Easy Violence” にはコルウェルの初期のヴォーカル・テイクが収録され、最終曲はデモの上に作られた。後者の曲は、徹夜、社会への脅威、悪いパターンに陥ることを詳細に歌っているが、続く「John Prine」はドラムレス、ピアノ・ベースのバラードで、ペダル・スティールをシンセに近いサウンドに操作したマッシュである。

Sun Juneのレコードはいつも、メランコリアを前にすると、その緻密なテクスチャーの土台を裏切るような気楽さで、ごまかしのきかない風通しの良いサウンドを奏でる。’Bad Dream Jaguar’ のレイヤーは絡み合うことなく浮遊しており、陽が落ち、闇がしみ込んでくると、乖離した光り輝く音の鞘が垂れ下がる。このアルバムは、あきらめるか、とことんやるかの狭間にある。そして、静かな自信の揺らめき、その核心にある小さな希望の光。