Gunn Truscinski Nace – Glass Band

ARTIST :
TITLE : Glass Band
LABEL : Three Lobed Recordings
RELEASE : 7/28/2023
GENRE : , ,
LOCATION :

TRACKLISTING :
1.Entrance
2.On Lamp
3.Tape
4.Venus
5.Corner Dogs
6.Fencer
7.Stacked
8.Junctions
9.Noctiluca

ここにいる3人のミュージシャンは、同じ血を受け継いでいるのではないかと思うほど、豊かな歴史を共有している。それぞれが優れたソロ・アーティストであると同時に、他者との、そして彼ら自身による共同作業の実績もある。Gunn-Truscinski Duoは、このレーベルのために素晴らしいアルバムを次々と発表し、10年半近く正式に活動を続けている。John TruscinskiとBill Naceは、Jake Meginksyとともに今世紀初頭にさかのぼるグループ、xo4を構成している。Kim Gordonを加えた3人は、アンディ・ウォーホルの映画『接吻』のライブ・スコアリングを記録したレコードに参加している。

そして、今回のレコード『Glass Band』でも、彼らは一緒に演奏している。シームレスなグループ編成で、楽器編成がはっきりしているにもかかわらず、誰が何をやっているのかわからないほどだ。これはLPのスリーブに至るまで同じで、ネイスのアートワークにガンのおなじみの筆跡があしらわれている。私たちは、高度に発達した音楽的知性が、創造という重要な仕事に没頭するために、期待を完全に捨て去るような洗練された方法で溶け合っているのに遭遇するのだ。

「エントランス」は、夜明けの戦いのような緊迫感でアルバムの幕開けを告げる。渦巻くエレクトリック・ストリングスとドラムの嵐の中から、戦士たちが剣を抜いて馬に乗って現れる。それは、この奏者たちの音楽に出会えば、どれほど瞬時に気分が高揚するものかということを、玉虫色に思い出させてくれる。この曲は、ある意味で美しいフェイクアウトである。というのも、その後に続くのは、洞窟のようなドラマチックな爆音ではなく、むしろ映画のような一連のセットピースだからだ。Velvet Undergroundのブートレグというよりは、イーノの『On Land』に近い雰囲気だ。「On Lamp “と “Tape “は、アコースティック・ギター、打ち込みのドラム、エコー、異星人の無線通信を、風に吹かれた砂漠の夕日のサウンドトラックに仕立て、抽象的なものからリズミカルなものまで、目を閉じればまぶたの内側にBrion Gysinの絵が見えるかもしれない。

第1面は “Venus “で終わる。もしこれがヴィーナスのフィールド・レコーディングだと言われたら信じるだろうし、ローマ神話の神々の内面を音にしたものだと言われたら、それはもっともらしく思えるだろう。ガンとネイスのサウンドは、何世紀も続く氷嵐の中で揺れる木々のようであり、トルシンスキーのシンバルは凍てついた船乗りの歌を歌う。裏返すと、”Corner Dogs “はテープ・ループの使い方を聴かせてくれるが、これは “This Heat “や “The Fall “と同じくらいスリリングで幻惑的だ。ラプンツェルの髪が指の中で塵と化し、言葉を発しようとしてもパチパチと音を立てて朽ち果てるだけだ。