数年前、Nick Thorburn（ニック・ソーバーン）は、自身のプロジェクトIslandsが、ダンス・パンクLP ‘Islomania’ をレコーディングするため、5年ぶりにその名を捨てた。El-Pや短命に終わったヒップホップ集団Hellfyre Clubとのコラボレーションに始まり、当時最も人気のあったポッドキャスト2つのために曲を書いたことで終わった10年間を経て、ベテランのインディー・ポップ名義に戻ることは、よりロック志向の強かった2006年のデビュー作とは対照的に、彼がLPにもたらした音のパレットがかなり広がっているにもかかわらず、ちょっとした一周の瞬間のように感じられた。
来月末、ソーバーンはこのプロジェクトに続いて ‘And That’s Why Dolphins Lost Their Legs‘ という新たなIslandsのレコードをリリースする。’Islomania’ の遊び心溢れるエレクトロニック・ダンス・ミュージックから一転、このトラックはよりミニマルで真面目なシンセ・ミュージックへと軸足を移し、ソーバーンの痛々しいほどオープンな歌詞は、わずかなヴォーカルの変調に隠れている。「この曲は、恋に落ちるというほとんど宗教的な経験を捉えようとしているんだ」
「曲を書くとき、自分が作っているものがうまくいっているかどうか、本当のところはわからないんだ」とソーバーンは続ける。「何か良いことが起こるという一種の信仰を必要とする盲目的なアプローチがある。戦略も壮大な計画もない。それが本当に唯一の方法だと思う。カオスに屈すること。途中、醜い木もあるだろうけど、何か良いものに出会ったとき、それは超自然的で、自分自身から解き放たれたような慈悲深ささえ感じるんだ」
このトラックは、カナダ出身のビジュアル・アーティスト、Strange Processによって制作されたサイケデリックなビデオと組み合わされており、彼はトラックの包み込むようなアンビエント・サウンドを、ゆっくりと移り変わるビジュアルにカラフルに変換している。「私たちはお互いのファンだったから、簡単にフィットしたんだ。リスナーが印象派の絵画の中を進んでいくような、抽象的なものが必要だった。そして彼はそれを実現してくれた」
