Wetsuit – Sugar, I’m Tired EP

ARTIST :
TITLE : Sugar, I’m Tired EP
LABEL :
RELEASE : 8/17/2023
GENRE : ,
LOCATION : Brooklyn, New York

TRACKLISTING :
1.Sugar
2.Clovers
3.Local Celebrity
4.Clean Coming
5.Ghost
6.Polka Dots
7.Twiggy

‘Sugar, I’m Tired’( Records)は、ブルックリンを拠点に活動するインディー・ロック・バンド、のデビュー・アルバムで、ソングライター、ヴォーカリスト、ギタリストのAllison Beckerのプロジェクトであり、ギタリストのAnders Nils、ベーシストのPaul DeSilva、ドラマーのStephen Cadieuxが参加している。

ベッカーは2020年3月、中西部の実家で身動きがとれなくなり、クローゼットから放置されていたSquierのストラトを引っ張り出した。30歳にして思いがけず再び両親と同居することになったベッカーは、感情的な解放を切実に求め、ズーム・ギターのレッスンも兼ねて、初めて曲作りを始めた。子供の頃の寝室の床で曲作りに没頭した夏の後、ベッカーは’Sugar, I’m Tired’の始まりを携えてブルックリンに戻った。ブルックリンに戻った彼女はバンドを結成し、ニルス、デシルヴァ、カデューとコラボレートして、DIYで作った曲を真のロック・バンドに仕立て上げた。Wetsuitはブルックリンのインディー・シーンで親しみやすい存在となり、2021年秋からニューヨークを中心にノンストップでライヴを行った。

Wetsuitの曲は憧れとともに構築され、バンドメンバーのクラッシュするような波打つようなエコーの中で、ベッカーのベッドルーム・ソングライティングの純粋さを失うことはない。ベッカーの優しさと情熱に満ちたダイナミックな歌声は、インディー・キッズ時代のRegina Spektorを聴いていた10代から、現代のポエトリー・ソングスター、Adrianne Lenkerのクリスピーなカントリー・レンジへと受け継がれている。ベッカーのフォーク調のヴォーカルとは対照的に、ニルスのリード・ギターは、まるでバンドのセカンド・ヴォーカリストのように、ヴォーカル・メロディーを引き立てている。Wetsuitのジャンルの融合は、シューゲイザー的な至福のムードと90年代オルタナティヴのバラード曲の構成への感謝を示している。

‘Sugar, I’m Tired’は、書き込まれた日記のページをめくるように、昔の恋人や過去の欲望と向き合っている。いくつかの曲の歌詞は、ニューヨークの街並みや匂いのリアリティを背景に、失恋や恋愛の体験を綴ったベッカーの詩がそのまま使われている。1曲目の “Sugar” は、男性の期待に応えて女性らしさを演じることの疲れを、アルバム名にもなっているコーラスで表現している。ベッカーの歌声は、清楚なお辞儀をしたバレリーナのように踊り狂いながらも、ヒューヒューと叩きつけるようなインストゥルメンタルが通り抜け、彼女の脚の毛が生えてくる。Wetsuitの物語では、常に誠実さが勝つ。

“Clovers” は、2コードのラブソングのようなシンプルさと、午後に愛する人とベッドに横たわるパワーを感じさせる。みずみずしいサウンドは、親密さと満足感の解放を模している。Wetsuitの曲は、夢のような要素と平凡な都会生活を重ね合わせることが多い。草原でゼリー状になったり、バーが閉まった後に一緒に歩いて帰ったり。

“Sugar, I’m Tired” は、安定した忠実なリズムに支えられ、別れること、よりを戻すこと、そして待ち続けることの浮き沈みを掘り下げている。ニルスのペダルを多用したリフがメロディックなテーマを鮮やかに描き出す一方で、「地元の有名人」のボーイフレンドは不注意で残酷だ。ベッカーの抑制の効いたヴォーカルはいつもくるくると回り、まるでドゥーウープの曲のように電話を待っている。”Polka Dots” では、ベッカーは共依存関係を歌い、アパートの殻を構成する要素を列挙する。これらの日常的なディテールが、物語の地図、憧れが芽生える閉ざされた部屋を作り出している。Wetsuitのダイナミクスは、私たちを波打つような高みへと導き、やがて息を切らしたようにスローダウンする。

‘Sugar, I’m Tired’ は、温かく舞い上がるようなロック・コンポジションというWetsuitの長所を紹介し、音楽的な癒しを与えてくれる。この見事なデビュー作で、Wetsuitはブルックリン最高の新進気鋭のインディー・ロック・バンドとしての地位を固めた。