The National Jazz Trio Of Scotland – Standards Vol. VI

ARTIST : The National Trio Of Scotland
TITLE : Standards Vol. VI
LABEL :
RELEASE : 6/30/2023
GENRE : jazz,
LOCATION : Glasgow, UK

TRACKLISTING :
1.Catch The Wind
2.We Can Work It Out
3.I Wish You Love
4.To Love Somebody
5.Why Can’t I?
6.Matchmaker, Matchmaker
7.Me And My Shadow
8.Skylark
9.The Look Of Love
10.Careless Love

フォルカークの音楽界の異端児、Bill Wells(ビル・ウェルズ)が率いる、トリオでもジャズバンドでもない皮肉な名前のプロジェクト、National Trio of Scotlandの最新作『Standards Vol VI』には、一種の静けさが漂っている。
この10曲のカヴァー集は、実際のスタンダードを深夜に演奏するという点で、おそらく後者に最も近いと思われるが、NJToSの長期メンバーでありコラボレーターでもあるAby Vulliamyが唯一のヴォーカリストとして参加していることが、このレコードに孤独な空気を加えている。
これは、同じくNJToSの共同創設者であるKate Sugdenをプライマリー・ヴォーカリストとしてフィーチャーした『Standards Vol IV』(2018年)に続くもので、『Standards Vol V』(2019年)では、2016年からのメンバーであるGerard Blackが同様の方法で中心的な役割を果たした。
ウェルズは以前からヴリアミーのファンであり、ヴィオラ奏者として数多くのコラボレーターと共演し、またシンガーとしても活躍している。
ヴリアミーは2011年にウェルズがArab Strapのヴォーカリスト、Aidan Moffatとコラボレートした『Everything’s Getting Older』でヴィオラを演奏している。ウェルズはグラスゴーの自宅でバッキング・トラックを録音し、ヴリアミーはヨークシャーの自宅で歌声を加えた。
ウェルズとヴリアミーは、飄々としたイメージでポップ・クラシックの数々を再構築した。
ウェルズのウージーで低音なギターとピアノに乗せたヴリアミーの歌声には、どこかMargo GuryanやClaudine Longetの影が見え隠れし、Teenage FanclubのNorman Blakeとのセッションから抜粋されたサンプルも使われている。
オープニングを飾るDonovanのプロト・ヒッピー・クラシック『Catch the Wind』とディキシーランドのミニチュア『Careless Love』では、小さな電子パーカッシブのクリック音とヒスノイズが、さらに別世界の雰囲気を醸し出している。
その間の8曲は、The Beatlesのいつもは陽気なWe Can Work it Outが前半をリードし、愛すべきモップ・トップたちの陽気な楽観主義から一転して、もっと魂を探るような曲になっている。
続いて、アルバート・ビーチがフランスのソングライター、シャルル・トレネのエバーグリーン「Que reste-til de nos amours」の英語版「I Wish You Love」。
続いてBee Geesの失われた名曲『To Love Somebody』、そして『Why Can’t I?
後者は、ロジャースとハートのコンビが1930年に発表したブロードウェイ・ミュージカル『Spring is Here』で初めて歌われた曲で、2人のヒロインが孤独を分かち合うという内容だ。
ウェルズがこの曲を偶然見つけたのは、古ぼけたロジャース&ハートの曲集で、彼とヴリアミーが寒さの中から持ち込むまでは、この曲の題材と同じように本棚に置き去りにされていた。
Standards VIの後半は、Jerry BockとSheldon Harnickが1964年にヒットさせたミュージカル『屋根の上のバイオリン弾き』から、出会い系アプリが登場する前の時代を歌った『Matchmaker, Matchmaker』で始まる。
続いて、Billy RoseとDave Dreyerによるショービズの定番(Al Jolsonもクレジットされている)『Me and My Shadow』。次に、Johnny MercerとHoagy Carmichaelの “Skylark “は、マーサーがジュディ・ガーランドへの憧れからインスパイアされた曲だ。夜を乗り切るためなら何でも…。