The June Carriers – Equanimity

ARTIST : The June Carriers
TITLE : Equanimity
LABEL :
RELEASE : 4/10/2024
GENRE : ,
LOCATION : Porto, Portugal

TRACKLISTING :
1.Aim of Aims
2.Day’s Different
3.Katy, When
4.Red Half Sea
5.Pastoral Epigraph
6.Life’s Briefly So
7.Lyrical I
8.Where Did You Come From, You Sweet Horses?
9.No Wealth, No Ruin
10.Small Price to Pay For What They Know
11.Parable
12.Hervist

ポルトガルのソングライター、Old JerusalemことFrancisco Silva(フランシスコ・シルヴァ)のプロジェクト、The June Carriers(ジューン・キャリアーズ)を紹介することで、の2024年のプログラムが幕を開けます。フル・アルバム『Equanimity』は、彼の多作な過去とは一線を画し、温かみのあるトーン、ゆったりとしたペース、熟考された構成の、オープンエンドなギター作品。Equanimity』は、10世紀に書かれた禅のなぞなぞ集から引用した知恵(そしてその名前の由来)を反映した、一連の静物画のような作品。ある巡礼者が、巡礼の目的は何かと問われ、「わからない、ただ風を追っているだけだ」と答える場面。自分も同じような境遇にあったシルバは、このなぞなぞの結論である「知らないことが最も親密である」にインスピレーションを得たのです。

北部の沿岸都市ポルトを拠点に活動するシルヴァは、1995年にWill Oldham(Bonnie Prince Billy)がリリースしたアルバム『Viva Last Blues』のラストを飾る作品にちなんで、Old Jerusalemという別名義でレコーディングを行なってきました。シルヴァの印象的な9枚のフル・アルバム・コレクションは、地元のインディ・レーベルであるBor Land、Rastilho Records、Padとコラボレートし、Paulo Miranda、Alla Polacca、Peter Broderickといった志を同じくするプレイヤーたちと共に、10年に渡って活気に満ちたイベリアのフォーク・ロックで確固たる地位を築いてきました。Old Jerusalemとしてのシルヴァのレコーディングは、ポール・サイモン、アート・ガーファンクル、M.ワード、マーク・オリヴァー・エヴェレットとの類似性をバランスよく保ちながら、鮮明で叙情的、そして詩的。

新しく別名義となったThe June Carriersのもと、シルヴァの音楽は比較的抽象的で、これまでの主な創作活動のスタイルから離れ、瞑想的なインストゥルメンタルのコレクションを展開しています。Equanimityは、シルヴァがエレクトリック・ギターを再認識するきっかけとなった委嘱作品の制作中に、静寂の中で生まれました。反復とフレーズ操作の実験が雪だるま式に積み重なり、具体的な作品群へと変化していきました。直感的に、そして特定の最終目標もなく、シルヴァは作品をKramer(有名なレコード・プロデューサー、オーディオ・エンジニア、Shimmy-Discレーベルのオーナーであり、1980年代のニューヨークの「ダウンタウン・シーン」の伝説的人物)にマスタリングを依頼。シルヴァはこの言葉を胸に刻み、自由奔放な創作のタイムカプセルのようなヴィネットを並べました。

ポルトの西海岸を流れる大西洋を彷彿とさせる、スタッカートのリズムと包み込むような和音の波のブレンドの中で、「Equanimity」は視覚的な幻影と開放的な物語を鼓舞します。アメリカーナや伝統的なポルトガルの民謡の色合いが、終わりのない午後や暖かい日のささやきと並んでいます。コンポジション的には、「Equanimity(平静)」は、創作の邪魔をされないシルヴァの個々のスナップショットの上に立ち、重荷を下ろした親密な自由へと結実し開花します。この禅のような無我の境地において、私たちは難なく観察者にも代理人にもなれるのです。そうして初めて、このアルバムは、悟りが儚いものでなくなったと感じられるような結末を見出すことができるのです。