Ran Slavin – Oolong: Ambient Works

ARTIST :
TITLE : Oolong: Ambient Works
LABEL :
RELEASE : 3/22/2024
GENRE : ,
LOCATION : Tel Aviv Yafo, Israel

TRACKLISTING :
1.Time Regained
2.Butterfly of Ninh Binh
3.Ruby Ceylan
4.Dragon Inn
5.Grand Jasmin
6.Assam Jungle
7.Himalayan Flower
8.Summer Monsoon

『Oolong: Ambient Works』は、マルチ・アーティスト、の17枚目のスタジオ・アルバム。ドローン、アンビエント、ミニマル、シンフォニックが融合した74分のLPは、極東の様々なお茶をモチーフにしている。各トラックには、RSが東アジアで撮影したスローでアトモスフェリックな映像の旅が添えられており、トータルでは74分間の没入感のある旅として体験することができる。

Ran Slavinがからリリースするのは、2006年のCD/DVD『Insomniac City』に次いで2作目となる。

ウーロン茶は中国が原産で、英語で「黒」と「龍」を意味する2つの単語から音訳されている。この2つの単語は、本来の意味に加え、ウーロン茶の葉の形を表している。ウーロン茶は、1%~99%の範囲で独自の半酸化プロセスを経て作られる。

禅の没入型茶道は無限を放つ。それは道の芸術である。茶道は何よりもまず水のドラマであるが、スラビンズの旅の各場所はそれ自体が全体を表している。宇宙のすべては宇宙そのものと同じなのだ。スラビンの茶道は、ビデオ、絵画、写真、サウンドといった隣接する芸術ジャンルのプロセスを取り入れることで機能している。

スレイヴィンのウーロンは、環境をブレンドされた雰囲気に溶かす。音楽は、音の倍音、微小音、干渉、デザインされたノイズが溢れるパッチワークのような具体的なサウンドスケープに合成テクスチャーを統合している。スラビンズの音楽は、物質と非物質、具体と抽象、そして地上と地球外の次元、ここにあるように聞こえるものとそこにあるように見えるものとの関係を再構築しながら、世界の異質さを捉えることをテーマにしている。

オーディオビジュアルという表現手段への形式的な制限は、ミニマリズムのコンセプトである茶室建築に似ている。全体的な芸術作品として、茶道は、ショット、スローモーション、モンタージュといった映画的プロセスに関連し、それを先取りしている。茶道は物質、肉体、精神の芸術である。グリッチなアンビエント・サウンドだけでなく、フィルム素材、カメラ、マイク、照明、編集機器などの道具を使った映画制作の次元でもある。その可視性は、映画の音との比較言説につながる。映画と茶道が同じような音の選択システムで動いていることは容易に認識できる。ウーロン』におけるアンビエント作品は、単なる信号ではなく、豊かな性質を持つ曖昧な符号の流れを表している。個々の音が何を意味するのかを正確に知ることは不可能だ。時には、自然の音を聴くという意図もあるかもしれない。しかし、その音源や効果を特定することはできない。これらの音響現象には、物事の視覚的な質感の活力に対応する微妙なグラデーションやニュアンスがある。音は、追跡可能な音源を指すこともあれば、明確な音源を指していないこともある。仮想的に生成される映画音響は、茶道の音風景に匹敵する比喩的な性格を持っている。音の求心方向だけでなく遠心方向も想像上のものである。スラビンズの旅は、日常的な音環境の認識から逸脱した、人工的で抽象的なサウンドスケープを作り出す。小宇宙と宇宙が開き、有限と無限の関係を逆転させる。