Peel – Acid Star

ARTIST :
TITLE : Acid Star
LABEL :
RELEASE : 3/29/2024
GENRE : ,
LOCATION : Los Angeles, California

TRACKLISTING :
1.Y2J
2.Climax
3.Manic World
4.In The Sedentary
5.OMG
6.Acid Star
7.Pavement
8.Cycle
9.Mall Goth
10.The Cloak

Sean CiminoとIsom Innisが、シロップのようなエレクトロニック・ロック・グループ、のデビュー作となる『Acid Star』の制作に取り掛かろうとしたとき、彼らはまず、自分たちが子供の頃に好きだった音楽に触れることから始めた。つまり、イニスいわく「センスも判断力もない」うちに惹かれた音楽だ。

ある意味、90年代後半のメインストリーム・ヒットとデュオの関係は、想像しうる限り最も純粋な音楽とのつながりだった。そこで彼らは、それらの曲のリズムやテクスチャーのいくつかを記憶から再現し、ジャムに任せて新しいアイデアを導き出すことにした。つまり、何も考えず、ただヴァイブスで演奏するのだ:「難しく考えすぎたり、頑張りすぎたりすると、出てくる表現が台無しになってしまう。「でも、テイストが入る前に自分のDNAの中にあった曲を再現しようとするのは、聴き返してみると、エネルギーと生命力に溢れているように聴こえるんだ」。

ピールは常に、流れに身を任せることを基本としている。チミノとイニスが初めて出会ったのは2010年、Foster the Peopleのツアー・グループに参加することになったふたりは、すぐに意気投合した。2人のマルチ・インストゥルメンタリストは、Mark Fosterの影響力のあるロック・バンドに在籍中、ツアーからフルタイム・メンバーになり、最終的にはステージだけでなくレコーディングでも貢献するという道を共有してきた。しかし、それと同じくらい重要なのは、彼らは世界を見て育ち、人生のユニークな旅路で結ばれてきたということだ。イソムと私は何度も寝室を共にした」とチミノは笑い、「床やバンの荷台で寝た」とイニスも付け加えた。

2人は何年もかけて独自の音楽言語を開発し、ピールの誕生につながったセッションの背景には、当初はそれほど大きな意図はなかった。しかし、”Catch and Release “や “Citizen X “のような、Aphex Twinがニュー・オーダーをプロデュースしているような曲が出てきたとき、彼らはロサンゼルスのダウンタウンにあるイニスのロフトで渦巻いている音を世界に聞かせなければならないと思った。2020年のPeel EPに収録された「Citizen X」はストリーミングでヒットした。

通常、Peelの曲はチミノのギターとイニスのドラムで始まるが、そこからどう音楽がまとまるかは誰にも予想がつかない。”グルーヴという土台があって、そこから椅子取りゲームをしてアイデアを作り上げていくんだ “とイニスは説明する。イニスはシンセに移り、ベースを弾き、チミノはドラム・トラックをプログラミングし、弦楽器のパートをアレンジし、ギターを弾く。そしてふたりは歌い、セッションで出てきたものをもとに、特定の曲の手綱を取ることをお互いに信頼している:「本当に、あなたはイゾムのすべてを聴き、そして私のすべてを聴くことになる」とチミノは言う。「それぞれの個性が表れている。

その結果、ロックのキャンバスにダンス・ミュージックの絵の具が渦巻くようなアルバムが出来上がった。Primal Screamのようなクリエイション・レコードのジャンルを超えたバンドや、Happy Mondaysのようなマッドチェスター・グループにインスパイアされたこともあり、『Acid Star』は古典的な公式に現代的なスピンを与えている。オープニングの “Y2J “は、そのような子供時代の歌の実験から生まれた曲のひとつで、Y2Kにちなんで名づけられたが、わずかに1文字ずれている。”Climax “は、2018年のギャスパー・ノエの同名映画にインスパイアされた曲で、スプーンと同様にナイル・ロジャースの得意とするロケット船に乗るような曲だ。OMG」は、サイケデリックな体験を歌った曲を、ケヴィン・パーカーが嫉妬するようなきらびやかなプロダクション・サウンドで表現している。

しかし、ダンスフロア向けの曲ばかりではない。アコースティック・ギターと穏やかなヴォーカルに支えられたこの2曲は、ピールそのものが持つメロディアスな魅力を存分に押し出している。「君は微笑んでいる、そこで笑っている、僕のアシッド・スター」とチミノが歌う前者の曲は、ある種の儚くて手の届かないタイプのロック・ゴッドへの賛歌だ。「この歌詞は、日常的に使われる以上の言葉の力への賛辞なんだ」とチミノは言う。「誰か、何か、あるいはとても意味のある、ほとんど重要すぎるような考えを表す言葉を考えていたんだ」。アルバムの名前を決めるとき、それは彼らの目の前にあった。