ill peach – THIS IS NOT AN EXIT

ARTIST :
TITLE : THIS IS NOT AN EXIT
LABEL :
RELEASE : 11/3/2023
GENRE : ,
LOCATION : Los Angeles, California

TRACKLISTING :
1.BLOOM
2.BLAH BLAH BLAH
3.TORNADO WEATHER
4.HUSH
5.CAPILLARY BED
6.17
7.SOFT (intermission)
8.HEAD FULL OF HOLES
9.SOUR LIKE LEMONADE
10.THIS IS NOT AN EXIT
11.COLLIDING
12.HEAVYWEIGHT
13.SIGH

このバンドが存在するのは、存在しないのはあまりにも奇妙だからだ。

の始まりはニューヨークのレコーディング・スタジオで、パット・モリッシーとJess Corazzaはプロのソングライターとして、Icona Pop、SZA、Weezer、Pharrell、Big Freediaなどのアーティストとコラボレートしていた。そしてある日、彼らは自分たちの出版契約を持ちかけられた。クールだろ?まあ、それについては。

みんな、”君が書いているものは、ちょっと中道から外れた変人的なものだ “って言い続けていたよ」とモリッシーは振り返る。「自分のプロジェクトを始めたらどうだ?

こうしてill peachは、パンクの嗜好を持ち、腐ったものも甘いものも好むポップ・バンドとなった: “ギターを手に取って、この水差しに乗って、iPhoneで録音して、奇妙なドラムパターンを作ってみない?”

自身のPop Can Records(Morrissey と親しいコラボレーターであるJesse Schusterが友人たちと運営するレコードレーベル兼アーティスト集団)からの好評を博した一連のEP、の15周年記念シリーズのためのデジタル・シングル、そしてサウンドとともにバンドの視覚的美学を結晶化させたカラフルなミュージック・ビデオに続き、ill peachの「奇妙なもの」は、初のフルアルバム『THIS IS NOT AN EXIT』で結実する: 明るいポップと硬質な実験的要素(モリッシーはLowのラスト・アルバムにおける彫刻的なディストーションの使い方をインスピレーション源として挙げている)から成るアンセミックな曲のコレクションで、フックの効いたコーラスが特徴的だ。

ill peachが最初にニューヨークで開花したとすれば、プロジェクトが熟すにはロサンゼルスでの隔離が必要だった。コラッツァは、「音楽業界のヴェールが剥がされた時期だった。世界の終わりは、ill peachが自分自身と向き合うために必要なことだった。「これが新しい自分たちなんだ、両足でジャンプしよう “と思えるようになったんだ。

THIS IS NOT AN EXIT』のタイトルは、コラッツァが個人的、家族的危機の時期に気づいたことを反映したものだ。”私はずっとビルの中にいて、どこかから出ようとすると、”ここは出口ではありません “というような看板が立っていた。「希望に満ちたことの比喩のように感じたわ。この希望と不安の組み合わせは、『This is Not an Exit』全編に反映されており、そのサウンドパレット(オルタナティブ!エレクトロニカ!インディー!ラジオ・ポップ!コールドプレイ!)は、気取らないほど多彩だ。

オープニング・トラックの “BLOOM “は、ドリーム・ポップ的な幽玄さをニュー・オーダー風のシンセサイザーと推進力のあるブレイクビーツで和らげた多幸感溢れる曲だ。そして、ダイナミックな “HUSH “は、1995年からラジオで流れているような、賑やかで静かでラウドなロック・アンセムで、モリッシー曰く ” Rage Against the Machine song “そのものだ。

HEAD FULL OF HOLES」では、コラッツァとモリッシーがエレクトロニックとロックの要素を融合させ、過去に生きることの危険性を歌ったトリップ・ホップ・インディー・ポップ・トラックで、ill peachのソフトな側面が前面に出ている。主にOP-1シンセサイザーで制作された心なごむ「CAPILLARY BED」では、コラッツァのヴォーカルがこれまで以上に天使のように聴こえる。(“変人もの”、覚えてる?)

結局のところ、『THIS IS NOT AN EXIT』は癒しについてのレコードなのだとコラッツァは言う。このプロセスはニューエイジ的な言葉で語られることが多いが、現実には本当に混乱し、そう、奇妙なものなのだ。しかし、ill peachが『THIS IS NOT AN EXIT』で見事に捉えているのは、生きているということの美しい奇妙さなのだ。というのも、人生の試練に直面した人間の感情の予測不可能さよりも、もっと奇妙なことがあるだろうか?自分自身と他者に対するより大きな知恵と思いやりをもって、反対側から出てくること以上に美しいことがあるだろうか?モリッシーが言うように、”逃げることはできない。それは一緒に歌う価値のある歌だ。