Gregg Kowalsky – Eso Es

ARTIST :
TITLE : Eso Es
LABEL :
RELEASE : 10/27/2023
GENRE : ,
LOCATION : Los Angeles, California

TRACKLISTING :
1.Fragile Water
2.Fontainebleau
3.A Chorus of Trees
4.Cold Open Cascade
5.Nights Move
6.Throwing Shapes
7.Brass Dolphins

ロサンゼルスを拠点に活動するマルチ・インストゥルメンタリスト、(グレッグ・コワルスキー)が、FMシンセシスとMIDIデータのパズルに没頭するスリリングな作品『Eso Es』でに帰ってきた。ベテラン作曲家である彼のクリエイティヴな飛躍を象徴する『Eso Es』は、エレクトロニック・ミュージックの領域ではめったに出会うことのない深い情感と脆弱性を湛えた、コワルスキーの内面世界への催眠術のような旅として展開される。

南フロリダで育ち、ミルズ・カレッジでFred FrithとPauline Oliverosに師事したコワルスキーは、2000年代半ばにベイエリアの盛んな実験音楽シーンのメンバーとして脚光を浴び、KrankyやRoot Strataといったレーベルから素晴らしいアルバムを次々と発表し、アメリカ製のミニマル・ミュージックやエレクトロ・アコースティック・ミュージックの再活性化に貢献した。過去20年にわたり、ソロ作品、大編成アンサンブルのための作品、映画のサウンドトラック、ダンス・パフォーマンス、サイトスペシフィック・インスタレーションを作曲してきたコワルスキーは、2010年代、高い評価を得たデュオ、Date Palmsの片割れとして精力を注ぎ、2011年のMexican Summerからの『Honey Devash』を含む3枚の催眠術のようなアルバムをリリースし、精力的に活動してきた。

歴史的に、コワルスキーのソロ活動は、持続的な調性とハーモニーの緊張感を好み、テクスチャーのアンビエンスに没入するコンポジションとして結実してきたが、2017年の『L’Orange L’Orange』では、微妙なシフトが足元にあった。デリケートなメロディーがアルバムの構成を貫き、ハーモニーの関係は酔わせるような暖かさでうごめいている。あれから6年、繊細な介入から始まったこの作品は、『Eso Es』に代表されるような創造的飛躍を遂げた。

『Eso Es』は、なかったかもしれないアルバムであり、落ち着きのなさと疲労から生まれた灰の中から生まれた不死鳥であり、実験音楽には固定した美学や “音 “がないことを痛烈に思い出させる。コワルスキーが幼少期に夢中になったシンセサイザーに回帰し、数十年前に実験主義へと彼を引き込んだ未知の喜びへと真っ向から飛び込んだこのアルバムは、ほぼ全曲がヤマハDX-7シンセサイザーとシーケンサーで作曲・録音され、ともにオーバードライブされたMIDIデータによって導かれた。このアルバムに収録された7つの楽曲は、アーティストにとってまったく新しいプロセスの結果であり、偶然の産物であり、アーティストと見慣れない楽器が自然に提示する限界と可能性との間の有機的な対話である。明確なプロセス意識と構造によって導かれたことは間違いないが、いずれも作曲という行為の中で重要な要素であるリスニングを重視し、リアルタイムで反応しながら開発された。その結果、きらめくシンセサイザーと酔わせるリズムのラインは、アーティストの練習の初期によく見られるような、陽気な素朴さで泡立つ。

シンプルなリズム・シークエンスが重なり合うサイクルとして始まった『Eso Es』は、沈黙のさなぎから抜け出したコワルスキーの内面世界への催眠術のような旅として展開する。アルバムの冒頭を飾る「Fragile Water」の踊るようなアルペジオの音色は、初期のニューエイジやアンビエント・ミュージックがミニマリズムと密接に結びついていたことを思い起こさせる; フロリダのエバーグレーズで『Eso Es』のレコーディングに費やした瞑想的なフィールド・レコーディングが現れ、『Fontainebleau』では催眠術のような恍惚状態に入る。

『Eso Es』の各楽曲は、独自の内的論理と道筋をたどりながら、驚くべき予期せぬ会話とエネルギッシュで前進的な勢いを全編にわたって確立しており、進化する瞑想の状態に似ている。A Chorus of Trees “の遊び心に満ちた揺れ、”Cold Open Cascade “の複雑な緊張感を経て、”Nights Move “の拘束されたエレガンス、”Throwing Shapes “の呪術的なリズムの調性、”Brass Dolphins “の幻想的な夢想に入ると、エレガンスとシンプルさが際立ち、それぞれの音はあるべき場所に正確に落ち、それ以上でもそれ以下でもない。

Mexican Summerから限定盤LPとしてリリースされた『Eso Es』は、エレクトロニック&エレクトロアコースティック・ミュージックにおける穏やかな力としてのGregg Kowalskyの復活を示すものであり、すでに傑出したキャリアにおける新たな高みに到達した作品である。