Giulio Stermieri – Fort Da

遅めにピークを迎え、ゆっくりと立ち上がり、穏やかに崩れ落ちる。Giulio Stermieriの初のソロ作品「Fort Da」は、ニュアンスに富んだ超催眠的な芸術作品であり、禁欲的なミニマリズム、ポリリズム・トランス、恍惚とした緊張感が、プリミティブなテクノやアブストラクト・ジャズへの意外な回り道と融合した6楽章からなる。

サリチェート・ブッツァリーノという小さな町を拠点に活動するピアニスト、作曲家であるGiulio Stermieriは、（Laura Agnusdeiとの）Impulse ResponseとEffetto Bramaの創設者でもある。アフリカン・アメリカン・ピアノの伝統と即興への愛情を、ピアノとエレクトロニクスの音色の探求に重点を置いて融合させる。Fort Da」は、ミニマルなアプローチがいかに障壁や期待を超越し、豊かなテクスチャーと深遠なシンボルを持つ言語を生み出すことができるかを示す完璧な例である。ほとんどファルフィサ・オルガンとサンプラーだけで録音されたこの曲は、メロディーの小さな輝きを隠しながら有機的に流れ、反復と重層化によってゆっくりとその姿を現す。「Crepuscular Moths」のコズミックなグルーヴ、「Hesychia」の歓喜に満ちた高み、「Wide Plain, Desolate Place」の不吉な緊張感が、濃密で見応えのあるモザイクを構築している。散らばるパーカッションが印象的な「Instruction Of Forgiveness」のようなトラックは、イタリアの伝統的なライブラリー・ミュージック、OST、宇宙的な実験主義への直線をなぞるかのようであり、クロージング・タイトルの「The New Holy」は、スピリチュアルなジャングルの未来を暗示するかのような、予期せぬテクノの領域に踏み込んでいる。

Giulio Stermieriの作品を特定するのは非常に複雑で、Rune Grammofonのようなレーベルの現代的な作品、Egisto Macchiのオーガニックな伝統、そしてサカモトの「Esperanto」のようなエレクトロニックなブリープを思い起こさせる、珍しいブレンドである。 しかし、何も決まってはいない。光り輝くのは、旅全体を貫く陽気な音楽的表現力である。

Giulio Stermieriの「Fort Da」はMaple Death Recordsからリリースされている。デジタル・リリースされ、限定ハンドスタンプ入りの赤いC44カセットで発売される。全曲、ジュリオ・ステルミエリが作曲し、ファルフィサ112454 – Eオルガンとサンプラーで演奏。レコーディングとミキシングは、2022年3月から10月にかけて、カンポガリアーノ（IT）の彼自身のスタジオ・ブッツァリーノで行われた。2番はEbowed piano、3番はPrepared piano tape、5番と6番はARP Odyssey。