Johnny Dynamite & The Bloodsuckers – “Lakehouse”

ジョニー・ダイナマイトの近作『The Tale of Tommy Gunn』は、従来のファンタジー物語を風刺的にアレンジした作品です。そんな中、ナッシュビルのレコーディング・スタジオから、トミーに破格の条件でトラックを提供する話が持ち上がる。しかし、そのスタジオはストリート・ギャングのマネーロンダリング(資金洗浄)の隠れ蓑だった。そして、トミーとヴァレンタインの関係は緊張を増し、やがてヴァレンタインは突然姿を消してしまう。

ヴァレンタインの消息がつかめないまま、トミーは自分の置かれた現実を直視することになる。

この間、トミーは偏執狂的なまでに恋人になりきり、ギャングの手によって死ぬことを望むようになる。物語の最後、トミーは地面に撃たれたまま、彼の最初の曲で書かれたフック、”now you really want to get close to me “を繰り返すのである。

フィルムノワールにインスパイアされたこのアルバムからのシネマティックでミステリアスなシングル曲 “Lakehouse” は、重厚で粘り強いベースライン、統制のとれたドラム、泡立つシンセ要素、輝くギターリフに乗り、フックの多い魅力でリスナーを魅了する。この曲は、グラフィック・ノベルや1940年代のスリラーから抜け出してきたような情緒を持ちながら、音楽的なサウンドトラックそのものは、純粋な80年代風のものです。曲の鼓動は、うねるようなシンセアレンジときらめくメロディによって駆動され、Pet Shop Boysのようなシンセポップの代表作やKorineのような現代の同時代人の壮大さと呼応する夢のような状態へと駆り立てられる。

Posted on 06/09/2023