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海を越え、記憶と景色を織りなす――Fusesが描く、スウェーデンとカナダの距離を埋める郷愁と希望のフォーク・サウンド

Fusesは、6月26日にリリースされるデビューアルバム『Sawdust in the Transmission』からの先行シングルとして「Garden of Ashes」を公開しました。本作は、60年代フォーク・ロックの響きを彷彿とさせつつも、Jason Molinaのような飾り気のない重厚な夜の静寂を湛えた楽曲です。メロディはあえて劇的な盛り上がりを避け、重なり合うハーモニーと余韻を残すペダル・スチールが、聴く者の心を静かに捉え続ける独創的な仕上がりとなっています。

アルバムの制作背景にはスウェーデンとカナダという遠距離間でのデータ交換がありましたが、そのプロセス自体が作品の質感を形作っています。パーツ同士が完璧には重なり合わない不完全な接続が、かえって人間味のある温かさを生み出し、スウェーデンのヨーテボリにあるスタジオで録音された音源には、独特の「内部的な気象」とも呼ぶべき微細な揺らぎが封じ込められています。

「Garden of Ashes」はアルバム全体を凝縮したような一曲であり、耐久性や記憶、感情の複雑さをメタファーを用いて描き出しています。フォークやカントリーといった伝統的な要素に触れながらも、過去の焼き直しに留まらない本作は、独特のテンポと確かな個性を確立しています。ほつれたエッジさえも魅力に変え、自分たちのペースで歩みを進める彼らの姿勢が色濃く反映された、非常に成熟したアルバムの誕生を予感させます。