Florence Beschの新曲「Remind Me of Me」は、「忘却」と、その核心にある矛盾をテーマにした親密なインディー・ポップです。苦しみや雑念を手放したいと願う一方で、大切な思い出や自己の感覚までもが薄れていってしまう切なさを描いています。日々のストレスや思考のループの中で、「すべてを忘れてしまうのに、なぜ記録を残すのか」という問いを日記や写真、歌を通して投げかけ、記憶の脆さを浮き彫りにしています。
サウンド面では、穏やかなメランコリーと微かな希望が絶妙なバランスで共存しています。特筆すべきは、彼女の祖父が撮影したアナログ写真を使用したアートワークです。祖父母の死後、古いフィルムから発見されたその写真は、後に認知症を患った祖父がかつて捉えた「失われたはずの愛おしい時間」であり、作品に深い個人的な層を加えています。記憶が消えても愛や意味は残り続けることを、優しく示唆する一曲です。

