Tara Clerkin Trio – On The Turning Ground EP

ARTIST :
TITLE : On The Turning Ground EP
LABEL :
RELEASE : 11/3/2023
GENRE : ,
LOCATION : Bristol, UK

TRACKLISTING :
1.Brigstow
2.World In Delay
3.Marble Walls
4.The Turning Ground
5.Once Around

ブリストルの(タラ・クラーキン・トリオ)が、ワールド・オブ・エコーとEPというフォーマットで、奇抜でエモーショナルな5曲のコレクションを発表してから2年が経とうとしている。しかし、彼らの不在を惰性と勘違いしてはいけない。その間の数年間、彼らの音楽的アウトプットは、いくつかのソロ活動とトリオとしての驚くべき10分の長尺作品に限られ、少々まばらであったとしても、それ以外の時間は豊かに費やされてきた。継続的な作曲とレコーディング、ヨーロッパと日本各地での大規模なライブ・パフォーマンス、地元やさらに遠く離れた芸術家とのつながり(音楽的なものも、そうでないものも)の育成、そして、他人の声を通して、彼ら自身の異端な関心に最も明白に語りかける毎月のNTSショー。その曲がりくねった活動の合流点が、間接的に『On The Turning Ground』へとつながっているのだ。

インスピレーションの中心はないかもしれないが、トリオには故郷という明確な軸がある。ブリストルは、異質でありながら活気にあふれ、何度でも新しく生まれ変わることができるような、多種多様な都市なのだ。Tara Clerkin Trioも同じ井戸から水を汲み、エレクトロニック・サブカルチャーと実験的衝動を前面に押し出した豊かな音楽的遺産を反映している。そのため、『On The Turning Ground』では、彼ら自身の微妙な内的進化、つまり、花開く途中の彼らを捉えたような、しかし決して彼ら自身以外の何者でもないような、そんな感覚が広がっている。

EPの最後を飾る2つのインストゥルメンタル曲は、その典型的な例であり、作曲空間に対する熟練度が増していることを示している。物思いにふけり、抑制された「Brigstow」と「Once Around」は、どちらもアフター・アワーというより、イン・ビトウィーン・アワーとでも言うべき、間歇的な質を発散しており、親密な家族だけが持つような暗黙の了解によって繋ぎ合わされたミニチュアのダブ・フォーク・シンフォニーである。この2曲が移り変わる時間性の感覚によって形作られているとすれば、このアルバムの中核をなすヴォーカル主体の3曲は、アヴァン・ポップという独自の形態に近づきつつある美学を穏やかに骨抜きにしたような感じがする。もちろん「ポップ」というのは広範に主観的な概念だが、「Marble Walls」や「The Turning Ground」のような曲のあからさまなきらびやかなメロディズムを避けることはできない。これこそタラ・クラーキン・トリオがやっていることであり、足元からそっと地面を引き離し、今まで見たことのないものに直面させるのだ。彼らと同じように世界を見るのだ。