Sankt Otten – Symmetrie Und Wahnsinn

ARTIST : Sankt Otten
TITLE : Symmetrie Und Wahnsinn
LABEL : Denovali
RELEASE : 3/25/2022
GENRE : experimental, electronica, ambient
LOCATION : Osnabrück, Germany

TRACKLISTING :
1.Hymne der melancholischen Programmierer
2.Die glücklichen Unglücklichen
3.Sei symmetrisch zu mir
4.Die Ordnung des Lärms
5.Luftspiegelung der Sentimentalitäten
6.In der Endlosschleife
7.Angekommen in der letzten Reihe
8.Bis das helle Licht uns holt

2020年のアルバム ‘Lieder Für Geometrische Stunden’ に続き、2022年初頭、はついに新作をリリースし、私たちを再び幸せにしてくれるでしょう。 ‘Symmetrie Und Wahnsinn’(対称と狂気)は、幾何学的な文脈を持つアルバムシリーズの中で、創造的にも音楽的にも、ここに巧く収まっているのである。

アルバムは “Hymne Der Melancholischen Programmierer”(感傷的なプログラマーのための賛美歌)で異常に快活に始まる。クラウトポップの真珠とも言えるこの曲は、モターリックのスイングとキャッチーなメロディーで永遠に続くと思われるが、曲名から予想されるようなメランコリックな印象はない。70年代末にデュッセルドルフで作曲されたような錯覚に陥らないよう、2度聴く必要がある。この曲(と “Sei Symmetrisch Zu Mir”)では、はドラマーの友人DIRK PELLMANNにスタジオでサポートされている。

ドラムマシンが鳴り響くファンキーなモード。”Die Glücklichen Unglücklichen”、このアルバムの隠れたヒット曲?ビートを幾何学的な形に曲げ、ベースを円形に弾かせ、幽霊のような合唱で曲を覆っている。スピネットのような響きが音に重なり、騙し絵のようなキュートな夢の世界を吐き出す。

10分に及ぶ “Die Ordnung Des Lärms” は、迷うことなくアンビエント・クラウトのシンフォニーと呼べるだろう。恍惚感への巨大なうねり、バックで遠巻きに歌われるギター。静寂。合成弦が道を切り開き、合唱団がそれを支える。リズムを思わせるパチパチという音から、ドラムコンピュータがメインとなる。シンセサイザーが山のように積み重なり、その中にキャッチーなメロディーが潜んでいる。第4楽章:ベースシンセサイザーとEbowギターの上に、Kosmische Choirsが吊るされている。これはもうプログレなのか?という疑問は湧かず、最後には全てがリバーブへと溶け込んでいく。

‘Luftspiegelung Der Sentimentalitäten’ は、穏やかなシーケンスと控えめなキックドラムで慎重に始まる。ミニムーグがギターのように聞こえる。とにかく。面が浮かんでは戻り、層と形が積み重なる。最後に、清らかな響きのシンセですべてが完璧なハーモニーに溶けていく。この曲は、前作 ‘Sentimentale Sequenzen’ の1曲目をストリップバックで再現する形で作曲された。

808のヒプノティックなMotorikビートは、思わずうなずきたくなるような、ダンサブルなサウンド。80年代のアナログ電子音とエコー・ギターを使用した忠実なスタイル。これは “Angekommen In Der letzten Reihe” です。人間と機械が手を取り合い、同質の音楽ユニットとして、伝統とビジョンの結びつきを表現している。

無限大のイメージのようなSankt Otten。宗教的な意味での瞑想的なマントラ、あるいは数学的な意味での細長い曲線が最終的に出発点に戻ってくるようなイメージです。”Bis Das Helle Licht Uns Holt” は、シーケンサーと聖歌隊の音の絨毯を使った古典的な手法で、まさにこの方向に向かっている。巧みな反復によって、構成上の網目の絶え間ない変化を秘密のようにかろうじて守り、耳を澄まして見させることによってのみ発見される音世界。こういうのをベルリン派というのだろうか。

1999年に結成されたオスナブリュックのデュオ、サンクト・オッテンは、2009年からからリリースを続けている。現在12枚目のアルバムで、彼らは再び時代を超えた珠玉のインストゥルメンタル・ミュージックを聴かせてくれる。クラウトロック、アンビエント、現代エレクトロニクスの三位一体でありながら、常にスタイリスティックな自信を持ち、紛れもないSankt Ottenである。

マスタリングは、ニューヨークを拠点とするRAFAEL ANTON IRISARRIが担当している。また、ジャケットのレイアウトでも、そのセンスの良さが証明されている。