Jolie Laide – Jolie Laide

ARTIST :
TITLE : Jolie Laide
LABEL : . Records
RELEASE : 11/17/2023
GENRE : , ,
LOCATION : Calgary, Alberta

TRACKLISTING :
1.Pacific Coast Highway
2.Move Away Towns
3.Away Too Soon
4.Why I Drink
5.Death of Money
6.My Darling
7.God of Gamblers
8.Isolation View
9.Blue as Blue

のデビュー・アルバムは、カリフォルニアの古典的なバラード、砂漠の悲歌、そしてレオーネやリンチの映画のスコアから簡単に引き出せるようなシネマティック・サウンドを想起させる、その土地に根ざしたような楽曲が特徴。Nina NastasiaとJeff MacLeodのコラボレーションから生まれたJolie Laideは、瞬間から瞬間へ、曲から曲へ、これらすべての要素に翻弄され、バンド自身が創り出したエーテルの中を漂っているよう。

バンドがここに辿り着くまでの道のりは、インディー界のレジェンド、Steve Albiniのスタジオでの偶然の出会いから生まれました。絶賛されたバンド、The Cape MayのメンバーとしてアルバムをレコーディングしていたJeff MacLeod。アルビニがプロデュースした全ディスコグラフィーを持つナスタシアは、次にスタジオに入ることになり、マクラウドと彼のバンドメンバーが終了する頃に到着。スタジオで安物のメスカルとスコッチを酌み交わしながら語り合った一夜は、急速に親交を深め、互いを尊敬するようになり、アルビニの提案で、やがてThe Cape Mayはナスタシアのツアー・バンドとして北米、そしてヨーロッパ・ツアーに参加することになりました。

ナスタシアは、90年代から90年代初頭にかけて、妥協を許さないインディー精神を持った特異なシンガー・ソングライターとして、高い評価を得ていました。しかし、John Peelのような著名な(そして熱烈な)支持者を含む熱狂的なファン層を築いた後、ナスタシアは一見姿を消したかのように見えました。アーティストのKennen Gudjonssonとの長年の関係は、彼女を包み込み始めていたのです。ナスタシアは自分自身とパートナーの中に引きこもり、彼女がとても大切にしていた個人的で芸術的な関係を修復するための解決策を見つけようとしました。ナスタシアは、この関係が取り返しのつかないほど壊れていることを認識し、関係を終わらせました。悲劇的なことに、グジョンソンはその直後に自殺で亡くなりました。その後、ナスタシアとマクラウドは喪失感を分かち合い、ナスタシアがこの暗闇から抜け出したとき、やがてマクラウドに、彼女の気を紛らわすために「何か、何でもいいから」取り組める曲を提供してくれないかと頼みました。

Jolie Laideの世界では、簡単な答えはないのです。歌詞に描かれた登場人物、そして多くの場合、ナスタシア自身が背負う重責を、そのサウンドの重さを、そして短い光の切れ間を句読点に刻みながら。ナスタシアとマクロードは、グジョンソンの死から生じた悲しみ、痛み、葛藤の中で曲を書いたため、フィクションと深く個人的なものとの境界線はしばしば曖昧になります。

おそらくこの雰囲気は、アルバム制作によって達成された部分もあるのでしょう。パンデミックのさなか、戸締まりや移動制限の中で作られた多くの音楽と同様、曲はマクラウドとナスタシアの間でやり取りされたホームレコーディングから生まれたもの。マクラウドが曲の骨格を提供し、それをナスタシアに送り、ナスタシアがヴォーカル・メロディーを加えて、完全な形の曲ができあがったのです。リバーブの効いたギターと心を揺さぶるようなハーモニーのヴォーカル。

このアルバムは紛れもなく映画的。オープニング・トラックの”Pacific Coast Highway”は、アルペジオ・ギターが50年代の陽気なポップスを彷彿とさせる、すぐになじみのある曲。耳に残る”Move Away Towns”で、ナスタシアはロマンチックなパートナーとのスリリングな逃亡生活を想像: 「あなたと一緒なら、こんな生活に飽きることはないわ。火事から逃げて、視界から消えるまで。私があなたを愛するように、あなたも私を愛してくれるように。私たちの道を切り開いて、あなたが誰を愛するかなんて気にしないわ」。フック満載の “Death of Money”は、このテーマの続編のようで、ストーリーもフィーリングも姉妹曲。しかし、西海岸のドリーミーさと、世界に抗う私たちの真のロマンスをアルバムにセットアップしたかのようなこの短い瞬間の後、曲は喪失、裏切り、疑念、悲劇が渦巻く、太陽が照りつける砂漠の風景へと飛び込んでいくのです。ナスタシアが悲嘆に暮れる “Why I Drink”。デビュー・アルバムはおろか、ベテラン・バンドでもめったに見られない手際の良さ。夜明けの埃っぽい西部劇が似合うエンディング・トラック “Blue as Blue”では、ナスタシアが「時には愛がこんなふうになってしまうこともある」と諦念を込めて歌い上げ、アルバムは終盤へ。何度聴いても、このアルバムの驚くべき親密さ、深み、そして突き刺さるような包み込むような正確さが深まるばかり。