Dan Darrah & The Rain – Rivers Bridges Trains

Dan Darrahはトロントを拠点に活動する20代のソングライター兼ギター奏者で、Beatles風のメロディと印象主義的な歌詞が織り成すロマンティシズムを、斜に構えた皮肉やアフォリスティックな表現で聴く者の記憶に刻み込む作曲家。ダラーが長年、寝室で一人で即興的に曲をレコーディングしてきたのに対し、新作『Rivers Bridges Trains』は、Greater Torontoの東部郊外で思春期から知り合い、コラボレートしてきたプレイヤーやシンガーの協力を得て、数ヶ月かけてきちんとしたスタジオでレコーディングされたもの。ベッドルームで聴いた懐かしい曲の数々をコラージュして再利用したこのアルバムは、Teenage Fanclub、Mojave 3、Jets to Brazilのようなソングクラフト志向のアクトの伝統を受け継ぐ、変幻自在で乱暴な作品。ブリティッシュ・インヴェイジョンのハーモニーがカントリー・ロックの気だるさと溶け合い、半ば取り戻された記憶の渦の中から、どこか困惑した台所の流しのようなリアリズムが浮かび上がってくる。