Upper Wilds – Jupiter

ARTIST : Upper Wilds
TITLE : Jupiter
LABEL : Thrill Jockey Records
RELEASE : 7/21/2023
GENRE : psychrock, progressive, noiserock
LOCATION : Brooklyn, New York

TRACKLISTING :
1.Greetings
2.Permanent Storm
3.Drifters
4.Short Centuries 03:32
5.10’9″
6.Jupiter
7.Voyager
8.Infinity Drama
9.Books About UFOs
10.Radio To Forever
11.Cerberrat

ブルックリンのトリオ、は、『Jupiter』で、より深く宇宙を探求し、高鳴るフックと爆音で宇宙の圧倒的な巨大さを表現した。トリオによる太陽系探検の第3弾となる本作では、太陽系最大の惑星である木星を取り上げ、スケールとパースペクティブを大胆に探求している。ニューヨーク・アンダーグラウンドの中心人物、Dan Frielのメロディックな才能と軽妙なリリシズムは、ベーシストのJason BinnickとドラマーのJeff Ottenbacherの轟音リズム・セクションによって拡大され、外へと押し出される。その名の通り、ジュピターはのカタログの中で最も巨大な作品である。彼らの音楽の生々しいパワーは巨人のような大きさに増幅され、天を爪弾くようなリフは、天が鼓舞するような畏敬の念を呼び起こす。

Jupiter』全体を通して、フリエルは移り変わる視点を巧みに利用し、宇宙の無限の広がりと、その中での私たちの居場所を意味づけている。Drifters “のバズソーのようなグルーヴは、NASAのボイジャー宇宙探査機が既知の宇宙の果てまで突き進む容赦ない前進を反映したもので、フリエルは彼らが地球と太陽の存在よりも長生きする可能性について考察している。「Short Centuries “は、地球最古の夫婦であるJulio MoraとWaldramina Quinterosにオマージュを捧げたもので、Katie Eastburn (KATIEE)とJeff Tobias (Sunwatchers)のゲスト・ヴォーカルによって、ゆっくりとしたシャッフルから恍惚としたピークへと上昇する。アルバムの中心曲 “10’9 “は、トリオの発泡するディストーションが溶けたようなスラッジとなり、地球上で最も背の高い人への頌歌となっている。「Books About UFOs “では、パンク・ミュージックにおけるSFの遺産に目を向け、Husker Düのオリジナル・カヴァーがトビアスの金切り声のようなサックスによって増幅されている。人間の体験にまつわる奇妙な実話と壮大な星間物語を並列させることで、宇宙の謎と神秘をより身近でありふれたものに帰結させている。

これまでのUpper Wildsのどのアルバムよりも、この『Jupiter』は人類の宇宙探査の試みを、そのサウンドDNAの切り離せない一部にしている。Travis Harrison(トラヴィス・ハリソン)とブルックリンの彼のスタジオSerious Business(Guided By Voices、Dope Body、The Men)で録音されたこのトリオのライヴ・レコーディングは、1977年のボイジャー探査機とともに発売された2枚組LP、Voyager Golden Record(ボイジャー・ゴールデン・レコード)にインスパイアされたサンプルで補強されている。”Greetings “は、55の言語による宇宙への挨拶で幕を開け、カスケード合唱団が虚空に向かって呼びかける。”Voyager “は、野生の動物の鳴き声やモールス信号のピコピコ音などのフィールド・レコーディングが、疾走するリフに突入する前に、ノリノリのパルスにブレンドされる。”パーマネント・ストーム “は嵐の音で幕を開け、木星の永遠の嵐、別名 “木星の目 “の果てしない乱気流を灼熱のギターに響かせている。Voyager Golden Recordが想定していた聴衆は、もともと探査機に遭遇するかもしれない地球外生命体だったかもしれないが、Upper Wildsは人類のために、そして人類について作られたレコードで、宇宙を求めるサウンドを地球に持ち帰った。

ジュピターは宇宙の果てしない広がりに安らぎを見出している。アッパー・ワイルズは、思いやりのない宇宙と広がり続ける無限の存在を前に、私たちの存在の小ささに敗北感を感じるどころか、地球での限られた時間をはるかに超えて私たちの寿命を延ばす創造性の力を捉えている。