TALsounds – Shift

ARTIST :
TITLE : Shift
LABEL :
RELEASE : 11/3/2023
GENRE : ,
LOCATION : Washington, D.C.

TRACKLISTING :
1.Palms
2.Eye Lines
3.Still Talking
4.Slides
5.Climbing
6.Water Bodies
7.Fading Phase
8.Searching
9.The Ground

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レバノン系カナダ人のミュージシャン、Natalie Chami(ナタリー・チャミ)は、(タルサウンズ)という名義で音楽を録音している。シンセとエレクトロニクスに囲まれたチャミは、即興演奏と意図的な作曲の境界線を行き来する親密なエレクトロ・アコースティック・セッションを創り出し、彼女の影響力のあるヴォーカル・パフォーマンスと徐々に蓄積されていくループ・シンセのネットワークに支えられている。

チャミの3枚目のLPリリースとなる『Shift』は、2020年の「Acquiesce」()、2017年の「Love Sick」(Ba Da Bing!)に続くもので、Hausu Mountain、Tabs Out、Moogの自社レーベルなどからカセットでリリースされたアルバムのカタログに加わる。チャミのパフォーマンス戦術とプロジェクトの構想は、彼女が前作で築いた道筋を踏襲しているが、『Shift』は彼女の実践に大きな変化をもたらしている。

ハードウェアのデジタル・シンセサイザーとFMシンセサイザーのみでレコーディングされたこのアルバムは、チャミのトレードマークであるアナログ・シンセの温かみのあるサウンドを、より意志的に鮮明で氷のようなトーン・パレットに置き換えている。彼女のループが幾重にも重なり、クライマックスへと構築されていく、彼女のカタログにしばしば見られる濃密なセッションに比べ、『Shift』は、彼女のシンセとヴォーカル・パフォーマンスの分子にレンズを近づけ、各要素が渋いミックスの中でより広いスペースで呼吸できるようにすることで、チャミの作品のよりミニマルな系統を際立たせている。

チャミはこのアルバムを構想する際、ポスト・プロダクションを同じ南西アジアと北アフリカ(SWANA)の血を引く女性たちと手がけることをポイントにしたが、それはそのようなコラボレーターが作品の精神を最もよく照らし出し、彼女が想像するような形で発表できることを知っていたからだ。オークランドを拠点とするアフガニスタン系アメリカ人のプロデューサー、Maryam Qudusがアルバムのミキシングを担当し、チャミのレコーディングに繊細なプロダクション処理を加えた。ブルックリンを拠点とするエジプト人オーディオ・エンジニア、Heba Kadry(ヘバ・カドリー)は、彼女のマスタリングによってアルバムを最終形に仕上げた。シカゴ在住のパレスチナ人ヴィジュアル・アーティスト、Mary Hazbounは、アルバムの印象的なジャケット画像を描いた。ワシントンDCを拠点とするアラブ系アメリカ人の写真家Farrah Skeikyは、チャミのポートレートを撮影した。

チャミは、『Shift』とそのストリームのようなヴォーカルは、彼女の人生の激動からエネルギーを得ていると説明する。彼女は、D.C.近郊に住むようになり、物理的な環境から解き放たれた思い出に襲われながら、18歳に戻ったような懐かしさを感じたと語っている。『Shift』は、気持ち悪さ、高揚感、静けさ、混乱など、自然発生的な感情的雰囲気のダイナミックな広がりの中で、これらすべてを捉えている。TALsoundsは、それらの感情を特定の音楽的ジェスチャーであからさまに象徴しようとするのではなく、彼女の手と声が導くままにどこまでも進み、そして自分の中から出てきたものを見渡しながら、その方向に彼女を導いた感情の共鳴を思い出す。このプロセスによって、彼女の芸術的実践と私生活が緊密な回路で結ばれる一方で、『Shift』の最終的なプレゼンテーションには解釈の余地が残されている。私たちにどんな言葉が届こうとも、チャミの人生について私たちが何を知ろうとも、このアルバムはその曖昧さから力と美を引き出す。