Richard Thompson – Music From Grizzly Man

2005年に公開されたヴェルナー・ヘルツォーク監督のアラスカの大自然の中での生と死を描いたドキュメンタリー映画『Grizzly Man』のリチャード・トンプソンの音楽は、このイギリスのギタリストの大作における最も知られざる秘密の1つで、映画のサウンドトラックとして装われたインストの傑作である。トンプソンがヘルツォークの映像に合わせてスタジオでライブ演奏し、2日間かけて録音されたこの作品は、ほとんどが一人で、時にはチェロ、ピアノ、パーカッションとのチェンバー・セッティングで、優しく細かいメロディと静かに内臓を刺激する即興は、それ自体が映画そのものです。ジグのような喜びから深い音の瞑想、フェアポート・コンヴェンションの「Sloth」を思わせる「Grizzly Man」のブルースマーチ、高音とトレモロの震えで悲痛な闇を描く「Treadwell No More」の長い夜まで、トンプソン本来の最高のフィンガーピッキング、スネークカール・ツワングとシンギングワイヤーのハーモニクスがソロで鮮明に表現されています。ギタリストのヘンリー・カイザーがプロデュースした『Grizzly Man』は、ヘルツォーク映画の大地のように大胆かつ雄大で、祈りのように親密な、力強い孤独の記録であり、リチャード・トンプソンの本質を表している。

– デヴィッド・フリック