Lync – These Are Not Fall Colors

ARTIST : Lync
TITLE : These Are Not Fall Colors
LABEL : Records
RELEASE : 10/20/2023
GENRE : , , ,
LOCATION : Olympia, Washington

TRACKLISTING :
1.B
2.Perfect Shot
3.Silverspoon Glasses
4.Pennies to Save
5.Clay Fighter
6.Cue Cards
7.Angelfood Fodder & Vitamins
8.Heroes & Heroines
9.Turtle
10.Uberrima Fides
11.Can’t Tie Yet

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90年代初頭のグランジの爆発が、シアトルのフランネルを着た不良たちをダウンタウンの猥雑なクラブからメインストリームへと押し上げたとき、落ち着きのない新世代のアーティストたちが、パシフィック・ノースウエストのアンダーグラウンド・ミュージック・シーンに残された空白を埋めた。当時、21歳以下で音楽をやっていた連中は時代の流れとともに生まれた、洗練されたプロダクション、クラシック・ロックの引用、男性ホルモンに煽られるモッシュ・カルチャーにはあまり興味がないようで、当時のポピュラーなサウンドから、より感情的なニュアンスを持ち、メロディアスで包容力のあるパンク・スタイルへと、彼ら独自のレボリューション・サマー的な方向転換を好んでいた。ピュージェット・サウンドのトリオ、Lyncは、DCやサンディエゴのシーンの情熱的なカオスと、オリンピアの盛んなインディ・コミュニティの荒削りなDIYポップ感覚をひとつの統一されたサウンドに融合させ、その時代の精神を完璧に捉えていた。バンドとしての活動期間はわずか2年だったが、彼らはノースウエストのアンダーグラウンドの次の時代を定義し、数え切れないほどの他のアーティストにインスピレーションを与え、この地域から愛されるレコードを生み出すきっかけとなった。10年以上絶版になっていたバンドの唯一のLP『These Are Not Fall Colors』がリマスターされ、アルバムのレコーディング・セッションのコンピレーション・トラック「Can’t Tie Yet」を収録した2xLPのデラックス・エディションが Recordsから発売された。

オリジナルは、バンドが活動休止する数ヶ月前の94年夏にK Recordsからリリースされた『THESE ARE NOT FALL COLORS』。今は亡きシンガー/ギタリスト、Sam Jayneのオフキルターなメロディーに導かれ、James Bertramのドライビング・ベースとDavid Schneiderのドラム・バッテリーが打ち鳴らすこの11曲は、”ポスト・ハードコア “や “エモ “といった形容が蔑称になる前の、90年代初頭の定義しがたいサウンドを表現している。確かに、「B」や「Silverspoon Glasses」のような曲では、より洗練されたミドルテンポのパンク・アプローチを感じ、「Pennies to Save」や「Cue Cards」では切ないソングライティングの風を感じるかもしれないが、Lyncは、ワシントン州西部の灰色の暗がりと地理的に孤立した場所で見つけることができたインスピレーションのかけらから、自分たちのアイデアを淘汰し、そのすべてを吸収して、自分たち独自のスタイルにまとめ上げたようだ。

Lyncは結成から日が浅く、志は控えめで、DIY的なアプローチだったにもかかわらず、彼らの作品は波紋を広げた。ジェインとバートラムは、ベックのアルバム『One Foot in the Grave』に参加。ジェインは、Love As Laughterという名義で音楽を作るようになる。Built to SpillのDoug Martschはこのアルバムに魅了され、There’s Nothing Wrong with Loveのツアーでリズム・セクションとしてBertramとSchneiderを起用した。These Are Not Fall Colorsのエンジニア、Phil Ekは、その後Fleet Foxes、Band of Horses、The Shinsのレコーディングやプロデュースを手伝うことになる。初期のベーシスト、Isaac BrockとThese Are Not Fall Colorsのアルバム・アートを担当したJeremiah Greenは、後にModest Mouseを結成する。バートラムとグリーンはまた、尊敬を集めるインディー・ロック・グループ、Red Stars Theoryを結成することになる。時折、90年代から00年代の北西部の主要なインディー・ロック・グループのDNAをたどれば、Lyncに行き着くような気がする。