Justin Walter – Destroyer

Justin Walter（ジャスティン・ウォルター）の音楽は、彼のシグネチャー楽器であるEVI（Electronic Valve Instrument）の透き通るような音色から引き出され、朧気と無感覚の間を行き来する。Krankyからの3作目となる最新作『Destroyer』は、これまでで最も多面的な作品である。ミニマルな衝動（壮大さを避け、範囲を凝縮し、空間的な抑制を受け入れる）に触発され、トリプティクスのドラマ（なりゆき、破壊、余波）で和らげられたこのアルバムの11曲は、不在と息づかいになぞらえた、痛々しく不透明な美の鋭く響く組曲となっている。

ウォルターは、2020年の夏、無人の土地で最初に制作を開始し、2時間近いデモ、草稿、アイデアを徐々に蓄積し、それらを着実にエッセンスへと削っていった。『Destroyer』では、最近修復されたポンプ・オルガンの音色が加わり、パルスと震えるようなテクスチャーが加わっているが、それ以外はEVIのきらめくショーケースである。瘴気、メロディック、直感的、無限大。この音楽は、激しい献身と不安な安らぎ、探求的でありながら物憂げで、いつまでもうっとりとして離れない音楽なのだ。