Jai Piccone – Make Me Understand EP

バルセロナの夏、オーストラリア人のJai Picconeは、睡眠とそれに伴う夢が奇妙なものであることに気づきました。昼と夜がシームレスに混ざり合い、気温は下がらず、睡眠状態と覚醒状態の境界線は曖昧。

こうした思いが、この才能あるシンガー・ソングライターの同名EPからのタイトル曲、「Make Me Understand」を生み出すきっかけとなったのです。夢の中のメッセージを読み解くための曲。全体を通して、ジャイは心の目から気まぐれなイメージを抜き取り、リスナーをシンセサイザーを駆使した跳ね回る旅へと誘う。ボーカルでは、火や水との不思議な交流を語る彼の歌声が輝かしい。

2曲目は、最も高揚した高揚感とその後の転落を描いた “Follow Me”。光と影を織り交ぜた歌詞で、リスナーを絶頂のパーティーへと誘うジャイ。彼が歌うように、”Follow me on tonight, feel it come on”、”someone has to know by now your falling”。

B面は “Actor”。アムステルダムの牢獄の淵で作り始め、かなり後になって完成した作品。「オーストラリアの家族を訪ねているときに、勇気を出して開き直すまで、2年ほどハードディスクに眠っていました」。

“Actor”はヴォーカル主導のカメレオン。無数の影響を受けて常に変化する曲。トワングアウトしたコードがレーザーのようなシンセと溶け合い、アウトロで最高潮に。耳を澄ませば、名声の虜になり、突然の注目に圧倒される人物の物語が聞こえてくるはず。

次は “The Only One”。魅力的なコード進行と高らかなヴォーカル・リックを中心に構成されたこの曲は、快活な外国の都市に降り立ったときのスリルを体現しています。ジャイが「バルセロナのナイトライフとロマンスにちなんで、変化に伴う興奮を表現したかった」と語るように。このカタルーニャのるつぼの、日没後の上品な解釈。

EPの中で最も早い5曲目は “You Look”。遊び心にあふれた子供のようなヴォーカルと、上昇するキーストロークがマッチした、DJセットで盛り上がること間違いなしの一枚。

“Luck”ですべてが終了。内省的な展望に立ったジャイは、彼が “自分自身が作り出した比喩的な迷路 “と呼ぶものに入り込み、自分がここにたどり着いた理由を知ることができるのかどうか思案。華やかでムーディーなプロダクションの中で、ジャイは運という現象について繊細に歌っています。色とりどりのEPの内省的なエンディング。

「Make Me Understand」は、ここ数年ジャイに呼びかけてきた音の力と経験を大胆に表現したもの。ヨーロッパでの忘れられない音楽の思い出から、人生そのものへの大きな問いかけまで、この作品群はまさに特別。