Jack Name – Fabulous Soundtracks

ARTIST : Jack Name
TITLE : Fabulous Soundtracks
LABEL :
RELEASE : 5/17/2024
GENRE : , ,
LOCATION : Los Angeles, California

TRACKLISTING :
1.Walking In The Park At Night
2.Along The Round Stones Of The Garden Path
3.The Runaway Girls
4.Lower
5.Prayers Ascending To A Kitten In Heaven
6.Big Monsoon
7.Cherie’s Eyes
8.In A Violet Twilight
9.Looking Through Pieces Of Glass
10.The Devil Comes Inside

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ロサンゼルスの孤高のミュージシャン、Jack Nameによる4枚目のスタジオ・アルバム『Fabulous Soundtracks』は、現実世界と心の世界とのねじれたロマンスへのオマージュ。音楽的にもリリック的にも、これはネームにとって最も冒険的でジャンルを超えたアルバム。アシッド、ダンス、フォーク、マイクロトーンの奇妙さ、ホラー、官能性、印象主義、ロックの炸裂といった要素が、ネームのこれまでで最も直接的でありながら幽玄なリリック・ライティングと融合。

夢のような体験と日常的な状況を混同させ、時には平凡なものに恐ろしいエネルギーを与え、またその逆もしかり。夜の公園を一人で歩く、庭をつま先で歩く女性、時間や変化と格闘する人、欲望、ペットを悲しませる、雨の中を一人で運転する、恋人とベッドに横たわる、野原に立つ裸の木、ガラスの破片を覗き込む、悪魔を家に招き入れる(ように)、などなど。

ロサンゼルスでネーム自身が録音し(ドラムはDylan Hadley、トラック1ではWill Canzoneriによる狂気のアシッドベースを除く)、デンマークのプロデューサーNis Bystedの協力を得て彼の生まれ故郷であるコペンハーゲンでミックスされた『Fabulous Soundtracks』は、ネームにとってサウンドとプロダクションにおいて全く新しい山を登った作品。また、ネームの初期のアルバムとは大きく異なるものの、彼のこれまでのディスコグラフィーの集大成とも言える作品。その結果、このつかみどころのないアーティストの全体像が、最初のリリースから着実に構築されているのです。

Jack Nameのアルバムはすべてコンセプト・アルバムに分類され、『Light Show』は鎮静剤を投与された子供たちについてのロック・オペラ、『Weird Moons』は癌と放射線治療におけるNameの体験を宇宙の狼男の物語として描いたもの、『Magic Touch』は愛に失敗した虐待された人間の肖像。Fabulous Soundtracks』はコンセプト・アルバムというよりは、小宇宙を表現したビーズの羅列のような作品。名前曰く、「現実から完全に切り離すことと、今この瞬間に深く集中することの間には、おかしなバランスがあります。どの曲もその場所から生まれています。ある考えや記憶、体験に細心の注意を払い、そこからどんな音楽が生まれるか、可能な限り耳を澄ませる練習をしているようなもの。音と言葉で夢を描こうとするような」。

ロサンゼルスの音楽シーンでは、どこにでもいるような人物であるにもかかわらず、ネームは一貫して影のあるミステリアスな人物像を維持してきました。ソーシャル・メディアとは無縁で、従来のロック・スペースからも距離を置き、ライブ演奏はほとんど行わず、即興で演奏することもしばしば。彼の実践は、芸術的本能を損なうと見なされる社会的圧力を拒否するものであり、今日の世界ではアーティストにとって稀でリスキーな道ですが、大胆で注目すべきものです。

そのため、『Fabulous Soundtracks』が同世代のアーティストが作っている音楽とは似ても似つかないのは当然のこと。その真摯さゆえに、このアルバムは荒々しくも楽しく、多彩に聴かせてくれます。頭のない動きや感覚に満ちた自分の現実の生活のサウンドトラックとして、もしかしたら、そのうちのいくつかに実際に気づくきっかけになるかもしれません。あるいは、どこか暗くて静かな場所で聴いてみてください。