HOLY WAVE – Five of Cups

Five of Cupsはタイトル曲で幕を開け、アルバムの聴覚とテーマ性を最初から確立しています。Holy Waveのリゼルギーなテクスチャーのパレットは、この曲のウージーなシンセのリードと反重力ギターのジャングルですぐにわかりますが、非定型のコード進行とボーカルのメロディーは、音楽を無機質な逃避から、自己決定と敗北主義の間の物悲しい取り組みへと導きます。Holy Waveは、”Bog Song” でも切なく幻想的な列車に乗り続け、メンバーは渋いマイナーコードのうねりと重層的なエレクトリック・オーケストレーションの間で揺れ動く。さらに、先にリリースされたデジタルシングル “Chaparral” では、バンド自身のノスタルジーに浸りながら、エルパソの過去の思い出を超越した勝利のタペストリーに織り込んでいます。

アルバム志向のクラシック・ロックがそうであるように、’Five of Cups’ の後半から本当のマジックが展開され始める。”The Darkest Timeline” では、Holy Waveは、メキシコのバハカリフォルニアのサイケ・デュオ、Lorelle Meets the Obsoleteの友人Lorena QuintanillaとAlberto Gonzalezを迎え、真夜中のグルーヴに酔わせる幽玄な層を追加しています。”Nothing in the Dark” も同様の原理で、安定した推進力のあるドラムパターンを基盤に、テープウォークしたシンセ、アルペジオのギターコード、ファズのジェットストリーム、そして静謐なボーカルが奏でられます。’Five of Cups’ の敗北と失望に立ち向かう考察は、アルバムのクローズである “Happier” で直接的に突きつけられます。メランコリーと爽やかな洗練されたメロディーの境界線をまたいで、Holy Waveは現代における幸福という合成概念を検証し、快適さを得ることがいかに真の喜びを感じないことが多いかを説いています。しかし、これはニヒルな悲歌ではありません。むしろ、人間の経験の幅には本来、山と谷が必要であり、幸福感はしばしば見慣れたものの外を探すことで得られるということを、浮き立つような思いで伝えている。