Grand River and Abul Mogard – In uno spazio immenso

ARTIST : Grand River and Abul Mogard
TITLE : In uno spazio immenso
LABEL :
RELEASE : 6/21/2024
GENRE : ,
LOCATION : Milan, Italy

TRACKLISTING :
1.Dissolvi
2.Frantumi di luce
3.Altrove, lontano
4.Archi
5.Sulle barcane
6.Ricordando il giorno

世界のおしゃべりがささやき声になり、虚無が雑然としたものに取って代わるとき、時間は完全に消え去り、想像力のための広大で開かれたキャンバスが内省、思索、抽象で埋め尽くされる。Caterina- Barbieriのレーベルlight-year’sからリリースされた初のコラボレーション・アルバムで、Grand RiverとAbul Mogardは、自信に満ちた印象主義的な音のストロークで、無時間性、素晴らしさ、静けさを捉えながら、深淵を見つめている。ダイナミックで痛烈な「In uno spazio immenso」は、ブーミーでオペラティックな壮大さとソフトフォーカスのシンプルさの間でナイフエッジのようなバランスを保ち、濃密で圧倒されそうなテクスチャーと同じくらい、繊細な輪郭と幻想的なリズムに光を投げかけている。

ベルリンを拠点に活動するオランダ系イタリア人の作曲家兼サウンドデザイナー、Grand RiverことAimée Portioliは、2017年にDonato DozzyとNeelのSpazio Disponibileインプリントから「Crescente」をリリースして以来、独自の音楽言語を進化させてきた。訓練された言語学者である彼女は、楽器編成と高度なプロセスを用いて文化的認識に挑戦し、固定した視覚的イメージではなく、感情やムードを描写する。一方、Abul Mogardはイタリアのベテラン・プロデューサー、Guido Zenの数ある別名義のひとつに過ぎず、Ecstatic、Houndstooth、VCOなどのレーベルからリリースした一連の高い評価を得たアルバムでは、虚構と荒涼とした現実を混ぜ合わせ、コスミッシェ・シンセのファンタジーをポスト・インダストリアルなアンビエンスと至福のシューゲイザーの記憶に揺さぶりをかけている。

2 人の共同作業により、PortioliとZenは、それぞれのコンセプトとテクニックを氷河のようなエモーショナルな広がりへと凍結させ、強度の中に一体感を見出した。オープニング・トラック「Dissolvi」では、巨大で残響の多い風景の上を2人が手を取り合って覗き込み、沸き立つベース、蒸発するようなヴォイス、生意気な合成音のうねりが手強い地形を浮き彫りにする。ビートレスだがリズムがないわけではなく、デュオの斜に構えた催眠術のような物語を暗示するために時間と形式を捻じ曲げながら、独自のペースで進んでいく。Frantumi di luce」は、微妙な揺らぎとまばゆいアンビエンスに彩られながら、好奇心を刺激する静かな屈折であり、「Altrove, lontano」は、瞑想的なムードを天使のようなコラール・エコーと喚起的なストリングスで覆い、リスナーをまったく別の場所へといざなう。

このアルバムで最も破壊的なトラックである「Archi」は、ある種の頂点であり、ワイドスクリーンのエレクトロイドの振動とオーバードライブのドローンが衝突し、粉砕されたインダストリアル・ビートに突入する。しかし、「In uno spazio immenso」は、ポルティオーリや禅についての物語ではない。空間とは私たちが望むものであり、それをどのように満たすかは想像力の深さによる選択なのだ。