DARJA KAZIMIRA – Medea Forgives Jason

ARTIST : DARJA KAZIMIRA
TITLE : Medea Forgives Jason
LABEL : Cyclic Law
RELEASE : 4/1/2022
GENRE : experimental, ritual
LOCATION : France

TRACKLISTING :
1.Morning of The Severed Head of a Black Cock
2.Submissiveness Awakens Hate
3.No, Deities, I won’t listen to You Anymore
4.And the Gods Are Leaving Me
5.My Brother’s Body Parts Shine and Sing From the Water
6.A Hungry Dagger Plays With My Children
7.Now I’m Your Mutt, Jason
8.Wash Me With Tears, Colchis
9.Dance Of The Obedient With Daggers
10.Therefore Be Damned Jason And Your Offspring Will Die

エウリピデスの悲劇「メデイア」にインスパイアされた即興演奏の連作。このキャンバスは、コルキスの偉大な女王のイメージに至る数々の音楽の道筋だけでなく、人類学、文学、夢、脱構築的身体的実践が、死にゆく神話を破壊し、それによって「始まり」に戻そうと結合する研究過程も写し出しているのです。人類学の哲学者ルネ・ジラールは、儀式と暴力の関係における最も基本的な理論家の一人であり、血まみれで残酷な神話について語るとき、聖なる暴力と原始的な暴力に象徴される双子の兄弟について思い出すよう読者にしばしば促したが、その関係は世界のバランスを象徴しており、暴力儀式は犯罪者の兄弟をなだめるのだ。また、この双子の間に等号を許すと、たちまち古代世界にカオスが入り込む。この言葉は、メデイアの神話にも当てはまる。現代の道徳的・倫理的態度を背負った今日、人間はメデアをヒステリックで執念深い女性、そして殺人的な母親として見ているのである。この神話の本体は、世界秩序に訴える古風な象徴的、寓意的な構成というよりも、伝記的な活劇に近いほど統一され、簡略化されているのだ。そして、ここでの問題の本質は、まさに「ハッピーエンド」に向かう素朴な近代的魅力に触発されて、メデア(儀式的暴力)とジェイソン(単純暴力)を切望的に等化したところにある。そのため、神聖な誓いから逸脱したジェイソンを血生臭い儀式の報復で罰するメデイアとその守護神の行為は、この神話的プロットを無意味なものにする単純化された感傷的意味合いに変わってしまった。一方、「メデイアがジェイソンを許す」という音楽行為は、メデイアを肯定的なシナリオに変えたいという大きな願望を実現し、この意図の無意味さだけでなく、古代の世界の観点からその破壊的性質を明確に示す。ここでは古代の宇宙の均衡が原始的暴力のエスカレーションに変わり、そこには神聖な場所はなく、破壊と狂気と混沌の不吉な仮死だけが残り、支配し、統治する。