Broken Record – Nothing Moves Me

50年以上にわたって多様なサウンドを生み出してきたオルタナティヴ・ミュージックなら、バンドが自分たち独自のサウンドを生み出すために、あらゆるサウンドを活用するのは直感的に理解できるだろう。とはいえ、たいていのバンドは、既成の方式からほとんど逸脱することなく、古巣を再演することに満足している。コロラド州デンバーのBroken Recordはそのようなバンドではない。

彼らの2枚目のLPであり、REALLY RAD RECORDSのデビュー作である『Nothing Moves Me』では、彼らにインスピレーションを与えた音楽への頌歌を愛情を込めて作り上げ、安易なカテゴライズにとらわれない空間を作り出している。煌びやかでコーラスたっぷりのリードは、TurnoverやTitle Fightのポスト・エモ・アルト・ロックと、それらのバンドのミューズとなった80年代のポスト・パンク・グループの両方を同時に想起させる。巨大でファジーなコーラスは、90年代インディー・ロックの勝利のシンガロングを思い起こさせる。高らかに歌い上げるヴォーカルと味わい深いシアトリカルさは、ベイサイドやテイキング・バック・サンデーのような2000年代初期のラジオ映えするエモ・アクトへの臆面もない親近感を示している。その結果、各要素の絶妙なバランスが完璧なハーモニーを奏で、各要素の総和をはるかに超えたアルバムに仕上がった。シューゲイザーの影響を受けた屈曲したリフであれ、推進力のあるパワーポップのリフレインであれ、『Nothing Moves Me』は実験と結束の間のカミソリのように細い綱渡りを巧みに操っている。