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Top 50 Albums of 2018

今年も年間ベストやりました。
色々と迷ったところもあったけど、最終的になんとなくまとまったので今回はベスト50のみ。

ではどうぞ。


50. Illuminati Hotties – Kiss Yr Frenemies (Tiny Engines)

今年も最初は新人さん枠ということでこちらのバンドです。バンドといってもジャケットの女の子のソロ作みたいなもので、キャッチーなものからしっぽりまでと色々と試している感じ。デビュー作ってこんなのがいいんじゃない。

49. Hater – Siesta (Fire)

これが2作目ですが、なんとなく印象はギターポップの人達だけど、ミニマルでクラウトなところがあって、実はというか正体は案外渋い人達。テンポの違いはあっても、一定の温度以上までしか上がらないようなぬるめなところが気持ちいい。

48. The Armed – Only Love (No Rest Until Ruin)

とにかく激しいけれど、なぜかそんなにうるさく感じないのが不思議。ブラックメタルの緩急で楽しませるものとは違って、ドカンとひとかたまりやってくるけど、その内容が複合的というか、分解していくと色んな要素が詰まってる。あんまり意味なさそうな電子音が意外と効果的。

47. Car Seat Headrest – Twin Fantasy (Matador)

まさかこんな作戦があるとは。古い作品をそのまま作り直すという裏技的なやつですが、初期の直球な部分ってキャリアを重ねていけば洗練されて薄れてくるものだし、よくある原点に戻る的な新しい作品よりも分かり易い。いいアイディアだと思うけど、多作家だから出来る技。

46. Hovvdy – Cranberry (Double Double Whammy)

今年のベッドルーム枠でランクイン。正直こんな感じのは一杯あるけど、一番ベッドルームから遠いというか、整った作品だったので選びました。ある意味bandcamp枠とも言えるけど、ストリーム時代全盛の昨今、bandcampの立ち位置がまた面白くなってきてる。

45. Kenseth Thibideau – Welcome to San Diego (Temporary Residence)

結構ゴリゴリなバンドに在籍してきた人のソロ作なんだけど、こんな事になるとは意外で驚いたし、全く違うところにソロ作としての意味を感じる。本当はこんなこともやりたかったのかなって思わせる音が、シンセ・ローファイだったところにキュンと来ました。

44. Pat Thomas – I Ain’t Buyin’ It (Empty Cellar)

こちらもソロ作になります。前者ほど在籍バンドから遠いところにはないけど、そこそこ遠い。基本的にレトロな路線ですが、普段のバンドにないところといえばジャズ。でもがっつりジャズじゃなくて、自然な感じにやってる感じで、ジャズというかムード歌謡なのかな。

43. Amen Dunes – Freedom (Sacred Bones)

更にソロ作。こちらも在籍バンドの活動はまだあるものか微妙ですが、なんていうか、だいぶ髪切りましたね。その影響なのか音もちょっとスタイリングされてます。本質に持っている埃っぽい部分が、おしゃれに聞こえるようになっている。

42. Virginia Wing – Ecstatic Arrow (Fire)

一時期に比べるとこんな感じのバンドは減ったかな。男女構成でエレクトロニックでサイケでミッドな音による組み合わせです。だけど似たような人達と比べると、ヴォーカルがしっかりしてるというか上手いので、ダラダラ感があまり感じないところがいい結果になってる。

41. Bad Bad Hats – Lightning Round (Afternoon)

前作を聞いたことなかったんですが、ちょこっと確認したら結構変わったみたい。これで2作目だけどキャリはは5年位あるので成熟期にあるようで安定感ある仕上がり。もう少し作りこんじゃったらメジャー系な音だけど、瀬戸際な感じで名曲に変わる。

40. Papercuts – Parallel Universe Blues (Slumberland)

初期はBeach Houseと同じようなポジションの扱いで一瞬レーベルメイトにもなったけど、また渋目のレーベルに戻ってリリースを重ねてましたが、今回は意外なレーベルからの登場でした。ギターポップを少し取り入れてふっ切れた感じ。続けていればいいことあるものです。

39. Boy Azooga – 1, 2, Kung Fu! (Heavenly)

アートワークやタイトルから違う感じの音楽を想像してしまいそうですが、デビュー作にしては完成されているアートなポップサウンド。一人でなんでも出来ちゃう人がリーダーのようですが、バンド編成になって更にクオリティーが上がったのでしょう。いいバンドの登場です。

38. Wye Oak – The Louder I Call, The Faster It Runs (Merge)

今までもエレクトロニックな要素はちょこっとありましたが、基本的にもっとロックでしっとり路線だった。今回はスペーシーでミニマルな構成にして一気に印象が変わりました。でも一番変わったのはメロディというかポップ加減で、随分と思い切ったものです。

37. Preoccupations – New Material (Jagjaguwar)

新しい名前も定着してきました。過去作よりもアートな路線へと向かっておりますが、なんとなく予測してた通りの展開ではあったけど歓迎したい変化。今までのようなドロドロした感じが評価されていたかもしれないけど、引き続き独自感はあるしいいんじゃないかと。

36. Forth Wanderers – Forth Wanderers (Sub Pop)

鼻声系ヴォーカルで淡々としているようだけど、たまに上下する歌い方と、それに合わせるようなバンドの演奏が効いているし、女子キャラだけじゃないところに期待したいバンドです。自作が勝負所になってくると思うけど、準備は上々です。

35. MOURN – Sorpresa Familia (Captured Traks)

スペインのインディもので、ここまでポストコアなバンドはあまり聞いたことがなかったので、なんか興味深くて気に入っていた。ここまで3作、バンド自身が持っているもので勝負してきた感じですが、次あたりは海外録音、オルタナ重鎮プロデュース作品が聞いてみたい。

34. Clearance – At Your Leisure (Topshelf)

基本的に濁らない演奏によるギター中心バンド。そんなバンドの代表格 Real Estateからは、もっとガレージやアメリカーナが入った感じです。キラーチューンはないけれど、ずっと聴いていて飽きのこない軽快で優しい響きの音楽です。

33. Soccer Mommy – Clean (Fat Possum)

リリースされるまでの曲は聴いていたつもりだけど、ちゃんと全部聴くのを忘れていたというか、追いついていなかった。で、ちょっと人より遅くれて良いじゃんってことになりました。そういうことでライブ見に行こうと思います。

32. The Spirit of the Beehive – Hypnic Jerks (Tiny Engines)

今回で既に4作目になるんですが、作品を重ねるごとに少しずつ複雑さを増してくるマス、DIY&シューゲイズな人達。変化球と直球を1曲に組み込んでテンポ良く、丁度いいくらいの複雑さで楽しませてくれるのがいい。

31. Rabbit Island – Deep in The Big (Bedroom Suck)

今年もアンビエントと女性ヴォーカルの作品は幾つかありました。その中には、常連Grouperもあったけど今年はこちらに決めました。ピアノとオルガンが中心のディープな作りではありますが、暗さは感じない所が好きだったのかもしれません。

30. Julia Holter – Aviary (Domino)

正直なところ、ここまでアカデミックな路線にならなくて構わなかったのですが、アーティスト力で入ってきました。でもここまでの作品を思い返せば、毎回違うコンセプトがあるような感じだし、今回は多方面のアーティストとのコラボレートが目的だったのでしょう。

29. Farao – Pure-O (Western Vinyl)

今回の中では一番ポップス寄りな作品になるかと思います。女性シンガーによるオルタナなポップものってかなりあると思うんですが、真ん中ぐらいにポップでオルタナな感じが良かったのかな。僅かなとこなんだけど、もうちょいポップスに寄ってたら選んでないと思う。

28. Laura Jean – Devotion (Chapter Music)

今回では2番目にポップス寄りな作品になるかと思います。でも前者よりはインディに寄っているので、聞く部分が異なるというか、それとは違う基準でのランクインです。といっても、エレクトロニック主体と思わせて意外とフォークなところがポイント。

27. Cool Sounds – Cactus Country (Hotel Motel)

たぶん前作からメンバー構成変わってると思われ、その影響もあってかギターポップな要素よりもガレージやフォークに、今回も若干のジャズが加わった形で自分達の音がより深まっている。全体的に角のない質感で、なかなかオシャレなんです。

26. Camp Cope – How to Socialise & Make Friends (Run For Cover)

メルボルン産が続きます。こちらで2作目ですが、前にも言ったかもしれないけど、オージーよりはユーエスっぽいところがある。基本スタイルは究極のDIYで、出来るだけ手を加えない質感や、魂いこもった唄心による、ある意味超ハードコアです。

25. Stove – ‘s Favorite Friend (Exploding In Sound)

こちらはユーエスのDIY。今年、メインマンがやっている本体バンドの復活作も出ましたが、こっちのセカンドバンドの作品の方が好きだった。軽快な部分とだるい部分の温度差と、真っすぐと捩れの絡みとか、雑妙な外しがよろしいです。

24. La Luz – Floating Features (Hardly Art)

前作はTy Segall、今回はDan Auerbachと、なかなかのプロデューサーが続いております。基本路線のサーフとガレージ、ドゥーワップにサイケは引き続きですが、前作よりも毒のようなものが加わってきていて、それが艶っぽく深みが出ました。

23. Gia Margaret – There’s Always Glimmer (Orindal)

凄くシンプルな音で勝負しているんだけど、曲によってその要素は案外広くて、使う楽器もギター、ピアノ、エレクトロニックと、その曲に応じて使い分けている。なので、ただしっぽりではなくて彩りが割とあるんです。

22. JEFF The Brotherhood – Magick Songs (Dine Alone)

もう別バンドじゃん、って言うくらい変わった。前作から2年ですが急激に変えてきた。正直なところ今までの彼らの音はそんなに好きじゃなかったけど、今回の低空ていうか地上を這うような一向に盛り上がらない感じがツボだった。まぁ世間的には低評価っぽいけど。

21. No Age – Snares Like A Haircut (Drag City)

こちらもそこそこの別バンド的変化です。今までのままやられていたら、ちょっと飽きて聞いていないだろうし、変化の時期としてはちょうど良かった。前のバンド同様に評価は分かれるところでしょうが、レーベル移籍を含めてどうしてこうなったのか知りたい。

20. Ty Segall – Freedom’s Goblin (Drag City)

今年もリリース・ノルマが高すぎて、関連作を含めると全部で5作?も出していましたが、本命作となるとこちらになるでしょう。色々と出してくれて聞く方もいつも大変なんですが、それなりに印象に残る作品は決まってくるんですよね。

19. Courtney Barnett – Tell Me How You Really Feel (Mom + Pop/Milk!)

先行曲を始め聞いた時、これは一番いいアルバムになるかもと思ったのですが、実際全部聞いたところで、あ、ちょっとKurt Vileっぽいなってというか、コラボ経験がちょいと反映されたのか渋味があって、突き抜けた感じではなかった。まぁそれでもいいっちゃいい。

18. Flasher – Constant Image (Domino)

アンダーグラウンドの名門レーベルから登場し、あれよと言う間に有名レーベルと契約してのデビューアルバム。DCバンドらしいクールな部分と柔軟なポップ・アプローチがあって、とても楽しく聴けるポストパンク。キャラクターもあるので今後の飛躍は間違い無いでしょう。

17. Snail Mail – Lush (Matador)

デビューした頃は他にも女子メンバーがいてもっとDIYなハードコア寄りでしたが、現在はヴォーカルの子のソロ・バンドと思うほどの印象に変わりました。結果的に戦略は成功したし、シンガーとしての魅力も伝わったと思うので、次はバンドとして進化するのを見てみたい。

16. Sun June – Years (Keeled Scales)

こちらも女性シンガーの印象が強いですが、ヴォーカルもバンド演奏も丁度いい控えめな作りで一体感がある。セルフ・プロデュースで録音もシンプルなのが良かったかもしれないが、きっと次は大きめのレーベルに行くと思うから、プロデュースされたりお金をかけてどう変わるか期待です。

15. Unknown Mortal Orchestra – Sex & Food (Jagjaguwar)

これで4作目ですが、デビュー作から基本的な部分は変わってないですよね。その基本構成の中から今回は、レトロなサイケロックとディスコが少しつ強くなったかな。でも他の部分が色濃く出てもこのユニットとしての音は保たれそうで、現に後に出たジャズ、オリエンタルな作品がいい例です。

14. Melody’s Echo Chamber – Bon Voyage (Fat Possum)

無事に復帰してリリースとなって何よりです。オープニング曲が先行で出てすぐに活動が止まっていたんですが、その曲のビート感に驚いたのでアルバムが楽しみだったから、ここまで長かった。仕上がりは想像以上にグルーヴィーで、甘いサイケロックポップを身にまとった、実は優れたビート・プロデューサー。

13. Beach House – 7 (Sub Pop)

当たり前かもしれないけど、リリースする度に少しずつ違うトーンがある。今回はSonic Boom色ってことになるのかもしれませんが、もうバッチリはまった感じです。結局毎回好きになっちゃいます。

12. Iceage – Beyondless (Matador)

どんどん煙っぽいというか、イナタい感じになってます。結成から10年位は経っているけど、渋い路線になるのがやや早いような。しかし、この男の色気ムンムンの感じの音楽って最近少ないし、素直にかっこいいロック。

11. Parquet Courts – Wide Awake! (Rough Trade)

思い切ったプロデュサーを起用してのファンキーな作品。でも全部を聞くと今まで通りと思う曲もあり、凄く変わったわけではないけど、このバンドの新しい部分が見れて楽しかった。

10. Dear Nora – Skulls Example (Orindal)

去年旧作が再発されて、やっぱいいなあと思っていたところでまさかの新作。その14年前の再発と聴き比べて大きな変化はないとこが嬉しい。シンプルに歌なんだけど、ちょっと不思議なメロディを書く人だなと改めて思いました。

9. Lucy Dacus – Historian (Matador)

今年話題になったシンガーソングライターによるトリオ・コラボ・ユニットのうち、今年本人の作品が唯一出ていた人。3名の中では一番どしっと安定しているのと、もっとも展開力のある曲を作ります。じわじわと泣かせる感じに引き込まれます。

8. U.S. Girls – In A Poem Unlimited (4AD)

前作が凄く好きでいっぱい聞いたはずだったけど、今回の作品が出てからはこればっか聴いていて、前の作品の曲を忘れてしまうくらいだった。彼女の進化とも言えるけど、常に陰で支える盟友Max Turnbullのプロデュース、作曲業も忘れてはなりません。

7. The Beths – Future Me Hates Me (Carpark)

今年の新人賞ってところです。キャッチーなギターポップと思わせておいて、結構タイトなことやってるんだよね。プロデュースはバンドメンバー自身ってとこもすごいな。それにこの音でニュージーランド産ってところも意外だし、いろんな意味で驚きのデビュー作。

6. Shame – Songs of Praise (Dead Oceans)

順位的には逆ですが、こちらもデビュー作なんですよね。本当にこれがデビュー作かって驚くほどの、キャリア感ありすぎるんで賞レースからは除外しちゃいました。前者もそうだけど、このようなバンドを見極めてリリースしてくるレーベルも凄いよ。

5. The Goon Sax – We’re Not Talking (Wichita)

ひっそりとお気に入りにしていたのに、ちょっと大きめのレーベルに見つかっちゃたって感じ。2作目でのレーベル昇給に驚いたけど、これからは今好きなバンドはと聞かれたら、ちゃんと彼らと答えよう。とにかく愛おしい存在です。

4. IDLES – Joy as an Act of Resistance (Partisan)

ゴリゴリにオルタナ、そしてパンク。まさに痛快、超硬派。でもオルタナと(ポスト)パンクをうまく兼ねるバンドは案外少ない。長年オルタナ聞いてきたけど、似たようなバンドを思い出せない。そんな貴重な存在のライブを見逃した。そういう情報に疎い。誰か教えてください、本当に。

3. Low – Double Negative (Sub Pop)

確かに最近はエレクトロニックな要素を積極的に取り入れてはいましたが、ここまで実験的な音になるとは思わなかった。そろそろ昔の生音路線に戻るのかと思いきや、長年やってきてまだ深化するのか。スローコアとかサッドコアとかの代名詞はいらない、LowはLowでしかない。

2. Rolling Blackouts Coastal Fever – Hope Downs (Sub Pop)

ふとするとまた聴きたくなって何回も聴いていた。特に移動中とかになぜか聴きたくなる。典型的にオージーの何気無しメロディなんだけど、他のバンドよりは音がいい。ちょっとの差なんがけどでかい。そんなに好きなのにバンド名がいまだに覚えられない。。

1. Mitski – Be The Cowboy (Dead Oceans)

レコ屋時代のやつに久々に会ってこれ聴いていたら、こんなオシャレなの聴くようになったんすか、って言われた。自分が変わった?そんなことはないと思う。音楽を何年も毎日死ぬほど聴いているだけ。2018年に生まれた音楽としてベストだった。

冒頭にも書きましたが、今年は結構いい感じに収まったと思う。

当然ストリームは沢山するけど、レコードも買うし、ライブにも行く。
今の音楽環境をどう楽しむか。
なんとなく分かってきた年でした。

とりあえず、今年もありがとうございました。
また来年も warszawa をよろしくお願いいたします。