エゴを捨て去り、互いの楽器を入れ替える混沌のゲームへ。実験的ポップ・トリオ Vanishing Twinが、日常のセッションを反転させ物語を紡いだ野心作『Archives』をリリース

エゴを捨て去り、互いの楽器を入れ替える混沌のゲームへ。実験的ポップ・トリオ Vanishing Twinが、日常のセッションを反転させ物語を紡いだ野心作『Archives』をリリース

変幻自在なサウンドで異彩を放つ実験的ポップ・トリオ Vanishing Twin が、通算5作目となる待望のニューアルバム『Archives』を10月2日に Fire Records からリリースすることを発表しました。本作は、従来のジャンルの枠組みを超えたポストモダンなソングクラフトのコラージュであり、創作という体験のなかに超越性を見出す野心作です。創設メンバーの Cathy Lucas がフランスの農村部へ移住し、Valentina Magaletti と Susumu Mukai がロンドンに残るなか、3人はバーチャルスタジオ空間で楽曲の断片を交換し合いながら、地理的な距離を「集合知(ハイブマインド)」的な創造力で見事に架橋しました。

アルバムの告知と同時に解禁されたのが、対照的な魅力を持つ2つの先行シングル「Bring Me The Axe」とタイトル曲「Archives」です。「Bring Me The Axe」は、1892年にアメリカで起きた有名な殺人事件の容疑者リジー・ボーデンの物語に緩やかに基づいており、フォークロアとインダストリアルが交錯する音響的極致のなかで、パーカッショニスト Valentina Magaletti の圧倒的な手腕が光るナンバーです。一方の「Archives」は、日々のセッションを聴き、繋ぎ合わせ、再構築するという彼らの制作プロセスそのものを体現したような、遊び心あふれるパッチワーク・コラージュに仕上がっています。

アルバムタイトルが示す通り、本作は日々の即興演奏や録音素材を集め、それ自体を反転させながら一つの物語を紡ぎ出す手法が取られており、いわば3人の集合的知性の記録(ドキュメント)と言えます。伝統的な作家性や所有権の概念を払拭し、お互いの楽器を入れ替えながら没頭したカオティックなエネルギーは、バンドを見慣れない形へと押し進めました。結成から10年を迎え、Tara Clerkin Trio や Still House Plants といった志を同じくするアクトと並び、現代のミュージック・アンサンブルの概念を拡張し続ける彼らは、かつてないほどに変幻自在(マーキュリアル)な輝きを放っています。