「AIの暴走とアルゴリズムへの抵抗、僕らはリアル(IRL)へ戻る」──Panda Bear & Sonic Boomがサブスク配信を完全撤廃したあまりにも挑戦的な最新作『A ? of WHEN』を7月にリリース

Panda Bear(Noah Lennox)とSonic Boom(Pete Kember)が、大成功を収めた2022年の『Reset』に続く共同プロジェクトのセカンドアルバム『A ? of WHEN』をDomino MartとBandcampから7月10日にリリースすることを発表しました。本作最大の特徴は、サブスクリプションなどのストリーミング配信を一切行わず、MVの制作やオンラインでの露出も最小限に抑えるという大胆な決断です。二人はSNS上で「AIのゴミ(AI slop)があらゆる場所に傾斜(AI slope)し、アルゴリズムが暴走している」と現代のネット社会を危惧し、リスナーに対してスクリーンをスクロールする手を止め、ラジオやライブ、リスニングパーティーといった「現実世界(IRL)」でのリアルなつながりに戻ろうと強く呼びかけています。

音楽的には前作の遊び心あふれる精神を受け継ぎつつも、ハープ奏者のMary Lattimore、マルチ奏者のDaniel O’Sullivan、ペダルスティールギターのZena Kayらをゲストに迎え、スチールドラムのシーケンスやメキシコシティのマリアッチ・バンドの要素、さらにはヨーデルまでをも取り入れた、二人の音楽的遊び場のような開かれたサウンドを構築しています。先行公開されたタイトル曲「A ? of WHEN」は、弾むようなビートやフルートのリフ、猫やビーチサンダルをモチーフにした歌詞など、往年のThe Beach Boys『Pet Sounds』を彷彿とさせる極めて快活なエネルギーに満ちていますが、その裏には「人間が台無しにしてきたツケが回ってくる、避けられないその瞬間(WHEN)」という重層的なテーマが隠されています。

この全10曲からなるアルバムにおいて、二人はネット社会への疲弊、蔓延するうつ病、政治的欺瞞、環境の持続可能性といった現代の深刻な課題に真っ向から向き合っています。単に現状への愚痴をこぼしたり世界の没落を傍観したりするのではなく、混沌とした時代だからこそ「運の持つ力を敬い、互いに寛大さ(グレース)を持ち合うこと」を提唱。世界を見つめてため息をつきながらも、それを友人と共に弾けるようなポップソングへと昇華させることで、人々の間に物理的・リアルな身体的つながりを生み出し、本物の体験を分かち合うための極めて批評的かつポジティブな大作となっています。

Download “A ? of WHEN” here.

Steve Gunn – “Nearly There” (Sonic Boom remix)

シンガーソングライターの Steve Gunn が、最新アルバム『Daylight Daylight』に続く4曲入りのコンパニオンEP『Shape of a Wave』を、今週金曜日に No Quarter からリリースします。本作には新曲2曲に加え、伝説的バンド Spacemen 3 の Sonic Boom(Pete Kember)がリミックスを手がけた既存曲2曲を収録。発表に合わせて先行公開された「Nearly There」のリミックスは、原曲の持続的な緊張感を活かしつつ、Sonic Boom 特有の音響処理によって新たな次元へと昇華されています。

長年 Sonic Boom の音楽に影響を受けてきたという Gunn は、今回のコラボレーションを「自分の耳や楽曲への考え方を形作ってきた存在との深い瞬間」であると語り、敬愛するアーティストに楽曲を託せたことへの深い感謝を表明しています。ミニマルなコードストロークとストリングスで構成された原曲が、サイケデリック・シーンの重鎮による独創的なタッチでどのように再構築されているかが本作の大きな聴き所であり、アルバムの世界観をさらに拡張する重要な作品となっています。