デトロイトのポストパンク・バンドProtomartyrが、Dominoよりリリースする通算7作目のアルバム『Hotel Usona』と、その先行シングル「Sounds We Cannot Hear」。名匠David Fridmannを迎えてニューヨーク州西部のTarbox Road Studiosで制作された本作は、Iggy Popからも「スムーズなリズムとハーモニーの展開はファイン・アートの証」と称賛される彼らが、ファシズムや現代社会の恐怖に鋭く切り込んだ渾身の作品です。
先行シングル「Sounds We Cannot Hear」は、ホーンやチューブラーベル、シロフォンなどを大胆に取り入れた重厚なアンサンブルが光る楽曲です。ヴォーカルのJoe Caseyによるダークで硬質なリリックが現代生活の緩やかな麻痺を描き出し、バンド特有の不穏なソリッドさを保ちながらも、スケール感を増したサウンドでグループの進化を強く印象づけています。
アルバム『Hotel Usona』全体では、老朽化したホテルに見立てた自国(アメリカ)の各部屋に、AI、強制送還、政治、暴力といった厄介な問題が潜むコンセプトが展開されます。Greg Aheeによる中東音楽や50年代エキゾチカからの影響を汲んだ楽曲構成と、David Fridmannによる生々しく恐ろしい音像処理が見事に噛み合い、過去20年で最も力強く、直視すべき不可欠な作品へと結実しています。
