カナダ・バンクーバーのノイズ・ロック・バンドPISSが、満を持して発表する待望のファースト・フル・アルバム『you made me / skin on linen』。2024年のデモ音源集『three demos』のリリースや圧巻のライヴ・パフォーマンスで地元の地下シーンに強烈な印象を残してきた彼らが、その鋭い美学を結実させた初のフルレングス作品です。パンク、詩、サウンド・コラージュ、パフォーマンス・アート、そしてビジュアル・アートを多角的に融合させ、個人的なテーマから政治的なメッセージまでをシームレスに横断する、先鋭的で多面的な芸術性を惜しみなく提示しています。
アルバムの幕開けを告げるリード・シングル「time loop at hot slit」は、社会構造の中に根強く存在する性的対象化の文化と、その中で生きる少女期(girlhood)の葛藤やリアルを探求したノイズ・パンク・トラックです。歪んだギターと切り裂くようなビートの渦の中で、ボーカルのTaylor Zantinghが鋭く重厚なリリックを吐き出し、静かな怒りと切実なエネルギーを交錯させています。ジャンルとしてのパンクの枠組みを拡張しながら、物議を醸すテーマに対して一切の妥協や自己欺瞞なしに向き合う彼らのアティチュードがストレートに凝縮された一曲です。
バンクーバーのアングラ・コミュニティとの深い繋がりから生まれた本作は、フェムやクィア、アウトサイダーたちの声と真摯に響き合い、画一化された音楽シーンに力強い一石を投じる決定盤となっています。閉鎖されたDIYスペースでのコミュニティの絆を描いたミュージック・ビデオの世界観とも共鳴するように、アルバム『you made me / skin on linen』と「time loop at hot slit」は、孤独な個人の叫びを連帯のエネルギーへと昇華させ、PISSというバンドの唯一無二の存在感を確固たるものにしています。
