June McDoom – “Human Angel”

アコースティック・ギターのメロディと吹きすさぶ風のフィールド・レコーディング音から静かに幕を開ける「Human Angel」は、浮遊感あふれるボーカルが漂う、ホームメイド感あふれる温かみと神秘的な美しさを兼ね備えたトラックです。ダブの要素を取り入れたドラムとシンセのアクセント、そして全編を彩るハープの繊細な旋律が重なり合い、フォーク、ダブ、サイケデリアが優美に交錯するスペイシーで幻想的な音響世界を作り上げています。併せて公開されたミュージックビデオも、その多層的で浮遊感のある空気を美しく映像化しています。

この楽曲が収録されるデビュー・アルバム『Follow the Light』は、70年代のフォーク/サイケデリアの叙情性と、現代的なエレクトロニック/レゲエ・ダブの実験的アプローチを昇華させた、彼女の真骨頂とも言える作品です。過去のEP作品群でも見せたクラシカルなメロディセンスと音響的な探求心がより深化しており、アコースティックな温もりに実験的なプロダクションが重なり合う豊かなアンサンブルを通じて、June McDoom という唯一無二のアーティストの全貌を提示する注目作となっています。


Dinosaur Jr. – “Everything At Once”

Dinosaur Jr. が、Jagjaguwar よりリリースされた通算13作目のアルバム『There Near』から、収録曲「Everything At Once」の映像作品を公開しました。J Mascis、Lou Barlow、Murph のオリジナル3人によって制作された本作は、デビュー作『Dinosaur』の頃に使用していたビンテージ・アンプを取り入れるなど初期の獰猛なサウンドへの回帰を試みており、「Everything At Once」も分厚く重厚なファズ・ギターの咆哮と甘くキャッチーなメロディがポップに交錯する、アルバム内でも際立って多幸感にあふれたラヴソングとなっています。

あわせて公開されたビデオ作品は、爆音ノイズのコーティングと親しみやすいポップ・センスが同居する楽曲の魅力をストレートかつ視覚的に捉えています。無骨でありながらどこか哀愁を帯びた彼ら独特の空気感とライブ感あふれるエネルギーが凝縮されており、結成40年を越えてもなお衰えることのないトリオのバンド・アンサンブルの絆と、新境地を示したアルバム『There Near』の奥深い世界観を強く印象づける映像に仕上がっています。

Way Dynamic – “Officially”

メルボルンを拠点に活動する Dylan Young のプロジェクト Way Dynamic が、Jagjaguwar からのアルバム『Massive Shoe』再発盤に合わせて新曲「Officially」とミュージックビデオを公開した。本楽曲はオリジナルのアルバムには収録されていない新曲であり、彼らしい肩の力が抜けた心地よい雰囲気と、新しい恋への没頭を描いた「Officially addicted」というリフレインが印象的である。多幸感にあふれたラヴソングでありながらも、自身の強迫的な一面や誰かに依存することの陰りを感じさせる、微かな哀愁が同居した深みのある楽曲に仕上がっている。

音楽的には「ベースボールキャップを被った Nick Drake」と評された前シングル「Miffed It」のニュアンスを残しつつも、より推進力のあるバックビートと軽やかでエアリーなムード、そして味わい深いリードギターが光る。Elliot Weaver 監督によるミュージックビデオとともに、Nick Drake の叙情性と Real Estate や Mac DeMarco にも通じるインディー・ポップの軽快さを併せ持った、Way Dynamic 独自の魅力が詰まった作品となっている。


June McDoom – “Without You”

ジャマイカ系のルーツを持ち、サウスフロリダ出身のシンガーソングライターJune McDoomが、名門レーベルJagjaguwarとの契約を発表し、デビュー・フルアルバム『Follow The Light』より先行シングル「Without You」を公開しました。パートナーであるEvan Wrightと共に時間をかけて手作業で音を重ねた本作は、ストレートな生ドラムのビートにダブの低音(ベースライン)とシューゲイザーを思わせる浮遊感溢れるフィードバックが交錯する、静謐でありながら豊かな質感を持ったドリーム・ポップ〜フォーク・トラックに仕上がっています。

本楽曲は「愛する人なしでは人生がどれほど無意味に感じられるか」という気づきと情緒的な変化を描いており、後半にかけてその大切な存在を決して当たり前だと思わないという強い決意と祝福のサウンドへと展開していきます。ミュージックビデオ(または映像世界)においても、孤独や愛の不在に対する切実な葛藤から、かけがえのない繋がりを再確認して前へと一歩踏み出すまでの感情のグラデーションが、彼女の天使のような美しいボーカルと深い音響空間と共に表現されています。


ルーツであるジャマイカの低音とフォークの繊細なハーモニーの結実——音の境界領域(リミナル・スペース)を漂うJune McDoomの最新シングル「Without You」と待望の1stアルバム

ニューヨークを拠点に活動するシンガーソングライターJune McDoomが、名門インディ・レーベルJagjaguwarとの電撃契約を発表し、待望のデビュー・フルアルバム『Follow The Light』のリリースと共にリードシングル「Without You」を公開しました。サウスフロリダのジャマイカ系家庭で育ち、幼少期から父親の自作スピーカーから響く低音とフォーク・ミュージックの繊細なハーモニーに包まれて育った彼女。本作は、パートナーのEvan Wrightと共に時間をかけてパートを重ね合わせ、緻密かつミニマルに構築された音の美学が結実した第一歩となる作品です。

先行トラック「Without You」は、「大切な人を失ったときにどれほど人生が無意味に感じられるか」という切実な気づきと、その存在を決して当たり前だと思わないという決意の感情曲線を表現した一曲です。直線的な生ドラムのビートから始まり、Cocteau Twinsの影響を深く受けたシューゲイザーの煌めくノイズと、ダブの伸びやかなベースラインが絶妙に融合。完成まで何度も工程を繰り返す静かな情熱と忍耐から生まれた、美しく儚い音響空間を展開しています。

デビュー・アルバム『Follow The Light』は、夢と現実の間、意識が覚醒する直前の静寂のような「リミナル・スペース(境界の領域)」を捉えた音のドキュメンタリーです。祖父であるメント奏者Colin Smithから受け継いだアコースティック・フォークの質感と、レゲエ/ダブのルーツ、そしてWall of Soundやドリーム・ポップの美学が等身大の彼女のボーカルを中心に交錯。自分自身の内面や家族の系譜と向き合いながら、暗闇の中で光を見出していく普遍的な美しさを湛えた傑作アルバムに仕上がっています。


Dinosaur Jr. – “Blowin’ Up”

Dinosaur Jr.のLou Barlowがリードをとる新曲「Blowin’ Up」は、Pearl Jamを強く彷彿とさせる楽曲です。Eddie VedderがDinosaur Jr.に魅了されるにふさわしい時代を過ごしてきたことや、両者がNeil Youngへのリスペクトを共有している背景を考えれば納得の響きと言えます。これまでもVedderとBarlowのボーカルの類似性は指摘されてきましたが、新作アルバム『There Near』からの先行シングルである「Blowin’ Up」では、その共通点がかつてないほど鮮明に表れています。

先行曲「Several Got Away」に続いて公開された本楽曲は、新作アルバムに収録されるBarlow作の2曲のうちの1つです。フォーク調でありながらミドルテンポのファズ・ロックに仕上がっており、現政権の「死のカルト」を鋭く批判する歌詞が強い印象を残します。曲の締めくくりでBarlowが見せる疲弊と嫌悪に満ちた声と「血と臓物が見たいんだろ/さあ来いよ」というフレーズは強烈で、新たなプロテスト・ソング(抗議歌)の金字塔として刻まれるにふさわしい一曲です。


Dinosaur Jr. – “Several Got Away”

Dinosaur Jr.が8月28日にJagjaguwarからリリースする5年ぶりの通算13作目のアルバム『There Near』より、先行ファーストシングル「Several Got Away」が公開されました。この楽曲は、バンドが結成初期のファーストアルバム制作時に使用していたものと同型の1970年代製アンプ「Mesa Boogie MK1」をJ Mascisが再導入したことで、原点回帰とも言える野性的で骨太なギタートーンを実現しています。長年のファンを一瞬で虜にする、彼らならではのラフでキャッチーなノイズ・ポップサウンドが極限まで引き出された、まさにファン待望の仕上がりとなっています。

あわせて公開されたミュージックビデオは、名曲「Feel the Pain」の系譜を継ぐような、遊び心とユーモアに溢れた作品です。監督を務めたGuy Kozakは、芸術家ヘンリー・ダーガーの絵画(巨大な炎の手から逃げ惑う子供たち)や「空中携挙(ラプチャー)」のイメージから着想を得て、どこか悪ガキの自主制作映画のようなノスタルジックな雰囲気を演出しました。マニアックなVFX(視覚効果)のチープな味わいも含め、広大なフィールドをサイコさながらにカメラで追い回されるメンバーの姿がチャーミングに活写されており、彼らの過去のMV作品とも見事に調和するクレイジーな世界観が表現されています。


ファーストアルバムの衝撃をもう一度――J Mascisが70年代伝説のアンプで仕掛ける、Dinosaur Jr. 5年ぶりの大音量ノイズ・ポップ回帰劇!

Dinosaur Jr.が、Jagjaguwarレーベルから8月28日にリリースされる通算13作目のスタジオアルバム『There Near』の発表を行いました。前作『Sweep It Into Space』以来、実に5年ぶりとなる待望のフルアルバムであり、バンドの歴史的なマイルストーンを受け継ぐクラシックな名盤としての期待が集まっています。

今作のアルバムサウンドにおける最大の鍵は、フロントマンのJ Mascisが導入した1970年代製の「Mesa Boogie MK1」アンプにあります。これは彼らがファーストアルバムを制作した際にエンジニアのChris Dixonの自宅で使用していたものと同型のアンプであり、近年鳴りを潜めていたパワーアップ版Fenderとも評される独特のギタートーンが特徴です。名プロデューサーであるRick Rubinの「ファーストアルバムの音に立ち返れ」というアドバイスを自身に重ねるように、意図して原点の野生味あふれる響きへと回帰しています。

このニューアルバムからの先行ファーストシングルとして公開されたのが、聴き手を瞬時に満足させるノイズ・ポップナンバー「Several Got Away」です。楽曲とともに公開されたミュージックビデオは、名作「Feel the Pain」の系譜を彷彿とさせるユーモアに満ちており、監督のGuy Kozakがヘンリー・ダーガーの絵画や空中携挙のイメージから着想を得て制作しました。広大なフィールドをカメラで追い回されるメンバーの姿を自主制作映画のようなノスタルジックかつチープなVFXで活写した、彼ららしい遊び心が凝縮された仕上がりとなっています。


Chanel Beads – “Tyler Richard”

Chanel Beads(ニューヨークを拠点にするシンガーソングライター Shane Lavers のソロプロジェクト)が、Jagjaguwar からリリースしたセカンドアルバム『Your Day Will Come』。その中核を成す楽曲「Tyler Richard」のミュージックビデオは、楽曲が持つ極めてパーソナルな喪失感と、夢のなかに現れる死者との邂逅を、実験的かつドリーミーな映像美で視覚化した作品です。

音楽的には、きらめく80年代風のシンセサイザーと歪んだノイズ、エモーショナルなボーカルが交錯する「目覚めながら見る悪夢」のような世界観が構築されています。ビデオはこの音像に寄り添うように、現実と非現実の境界が曖昧になる「変眠状態(夢の中で亡くなった人に再会し、目覚めた瞬間にその不在を突きつけられる感覚)」を、ローファイでざらついた質感のシネマトグラフィや独特のカット割りを通して表現しています。アルバムの持つニヒリズムと愛の共存というテーマを、静かでサイケデリックなエッジとともに見事に描き出した映像クオリティに仕上がっています。

運命的な出会いから、わずか48時間で完成。Jared Mattson(TM2)とRuban Nielson(UMO)がパームスプリングスの熱気の中で「発掘」した、必然の音楽。

The Mattson 2のJared MattsonとUnknown Mortal OrchestraのRuban Nielsonが、初の共同アルバム『FEAR』のリリースを発表し、先行シングル「AMERICAN EAGLE」を公開しました。長年互いの音楽性を敬愛していた二人は、2024年6月にパームスプリングスで初めて対面。最初の即興セッションを録音したところ、わずか2日間でアルバムを構成する全7曲が完成するという、驚異的なスピードで本作は形作られました。

制作過程は、作為的な作曲というよりも、そこに隠されていた音楽を「発掘」するような必然性に満ちていたといいます。シングル「AMERICAN EAGLE」のタイトルは、夕暮れの湖畔のイメージから連想され、ホットドッグやコーラといった「アメリカン・ドリーム」の記号に対するユーモアと、反論の余地のない明快さを持って名付けられました。二人はプールの傍らで絶え間なく対話を続け、その豊かで軽やかな流れをそのままテープに刻み込みました。

本作が描き出すのは、古いモーテルの点滅するサインや、夕暮れの放棄されたガソリンスタンド、ナトリウムランプに照らされた広大な駐車場といった「中間の場所」の風景です。快適さではなく移動のために作られた、孤独で匿名的な空間に寄り添う音楽を目指したとMattsonは語ります。静寂の中にかすかな危険の予兆を孕みつつ、寂しさを癒そうとするのではなく、ただその孤独の隣に佇むような、穏やかでいて研ぎ澄まされた美しさが漂う一作です。

「これと同じ響きのものを、もっと作ろう」という直感に従い、たった2日で駆け抜けた創造の熱量が、パームスプリングスの乾いた空気感とともに伝わってくるエピソードですね。

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