ニュージーランド出身のノイズ・ロック・バンドSulfateが、サード・アルバム『And It Wants』をリリースします。ニューリンの工業地帯で執筆・録音された全6曲の本作は、Cormac McCarthyの小説やゴシックホラーの狂気などからインスピレーションを受けて制作されました。完璧に整えられた現代のデジタル社会への反動として、生のバンド演奏のリアリティを追求しており、エンジニアのEmily Wheatcroft-Snapeを迎えて人間的な温もりと圧倒的な生々しさを音に閉じ込めています。
今作では、ベースにZac Arnoldが加入し、フロントマンのPeter Ruddellがキーボードからエレクトリック・ギターへ転向するなど大きな編成変更が行われました。機材のシンプル化によって楽曲の構造や反復による緊張感が研ぎ澄まされ、Arnoldが創り出すノイズの壁とDavid Harrisの力強いドラムが融合した、野生味あふれる重厚なバンド・サウンドを確立しています。
先行シングル「Aqui」に象徴されるように、アルバム全体を通じて「不可避な死」や現代社会の虚無感がテーマに掲げられています。しかし、ただ絶望を描くのではなく、世界の終末が近づく中でも自由で熱狂的に躍動し、喜びを見出すための解放的な音楽的背景として機能する作品に仕上がっています。
