Maura Weaver – “Museum Glass” (D.S. Carlyle Remix)

リミックスとは単なる楽曲の再調整に留まらず、時には原曲を全面的に再構築し、新たな視点や可能性を提示する創造的な行為です。本作では、シンシナティを代表する音楽家Maura Weaverのアルバム『Strange Devotion』に収録された「Museum Glass」を、同郷のDakota Carlyle(the Serfs、the Drin)がリミックスしています。Carlyleは、自身の普段のスタイルとは大きく異なるこの楽曲に、きらめくシンコペーション・シンセや推進力のあるベースラインを注入し、Adrian SherwoodがプロデュースしたPet Shop BoysやBronski Beatを彷彿とさせる、80年代風の不穏でダンサブルなエレクトロニック・ポップへと変貌させました。

原曲でWeaverは、ストーキングや襲撃に遭ったトラウマという極めてダークな実体験を美しい旋律と言葉で表現していましたが、Carlyleの手に渡ってもその美しさと闇の二面性は失われていません。原曲の象徴であるペダル・スチールの音色が両バージョンを感情的につなぎ留める架け橋となり、ポップなエッセンスの裏に深い洞察を隠す「トロイの木馬」のような構造が見事に維持されています。自身の音楽を再想像することを恐れないWeaverの勇敢さと、ジャンルを超越するCarlyleの予測不能なビジョンが融合したこのリミックスは、互いの創造性が絶頂期で交わった、シーンにおける極めて稀有で幸運なドキュメントと言えます。v