Lusine – “Pendulum”

シアトルを拠点に活動するエレクトロニック・ミュージック界の先駆者、Jeff McIlwainによるソロプロジェクト、Lusine のシングル「Pendulum」は、Ghostly Internationalから発表される10作目のフルアルバム『Melting Days』の核をなす象徴的なトラックです。本作は、こもったような繊細な輝きから、脈打つストリングス、フルート、そしてノイズ(スタティック)が織りなす壮麗なサウンドへと劇的に展開していくのが特徴です。テクノ、アヴァン・ポップ、アンビエントの境界を漂いながら、緻密なテクスチャーの洗練と美しいメロディ構造を両立させる、彼ならではの職人技が光る仕上がりとなっています。

近年展開していたコラボレーション主体のスタイルから一転し、ミニマリストとしてのルーツへと回帰した本作は、彼自身が直面した喪失や深い悲しみ(グリーフ)、そして人生の転換期を色濃く反映しています。映画のように直感的な構成で作られた楽曲群の中でも、この「Pendulum」は「ビートの重い世界から来た人間として、トラックをただ同じ場所に留めておきたくない。推進力を生み出したいんだ」という彼の言葉通り、アクティブで流動的なアンビエント・サウンドを提示しています。計り知れない人生の重みを処理し、最終的に手放していくような、カタルシスから明晰さへと至る微細な感情の揺らぎが見事に表現された1曲です。