Phoebe Bridgers – “Lost Boys” (Acoustic)

シンガーソングライターのPhoebe Bridgersがデジタルリリースした「Lost Boys (Acoustic)」は、2026年8月14日にDead Oceansから発売予定の3枚目のソロアルバム『Lost Weekend』からの先行シングル「Lost Boys」のアコースティック・バージョンです。オリジナル版は、精巧なアコースティック・ギターのフィンガーピッキングや木管楽器、さらにはboygeniusのメンバーらのコーラスを配した壮大でオーガニックなインディー・ポップサウンドが特徴ですが、このアコースティック版では楽曲が持つ剥き出しのエモーションと美しいメロディの骨組みがよりストレートに引き出されています。

米人気テレビ番組『The Tonight Show Starring Jimmy Fallon』にサプライズ出演した際には、オリジナル版を8〜14歳の気鋭のキッズ・ミュージシャンたちと披露したのに対し、このアコースティック版ではベテランのミュージシャン陣をバックに従えて consecutive(連続)でパフォーマンスを行い大きな話題を呼びました。歌詞の中では「ピーターパン」のロスト・ボーイズをモチーフにしながら、現代のスマートフォンやインターネット社会の閉塞感、そして記憶と未来の狭間で揺れる人間関係が切々と歌われており、彼女のトレードマークである繊細でダークな世界観が親密なアコースティックのアレンジによっていっそう深く心に響く仕上がりとなっています。


90年代の日本の記憶と豪州の自然が響き合う新生アンビエント・フォーク、Hana Strettonが他者との繋がりから紡ぎ出した両A面シングル「Before This」とニューアルバム『tiarn』

オーストラリア出身のアンビエント・フォーク・プロデューサーでありシンガーソングライターのHana Strettonが、2026年8月7日にリリースされるセカンドアルバム『tiarn』から、両A面先行シングル「Before This」をデジタル配信で発表しました。このシングルは「As It Was Before This」と「Seagull Theory II」の2曲で構成されており、これまでの「一人きりで制作を完結させる」という手法から一歩踏み出し、他者と関わりながら音楽を作ることを選択した彼女の新たな試みを示すマイルストーンとなっています。

収録楽曲には、それぞれ独自の美しい背景が存在します。女性の力強さとレジリエンス(しなやかな強さ)の系譜を歌った「As It Was Before This」に対し、「Seagull Theory II」は、限られた環境下でパーカッションの音を再現するためにガレージから木板を持ち込み、5足の靴を履き替えて人々が踊る足音を表現しようとした孤独な試みから始まりました。しかし最終的には、オーストラリアの地域合唱団Forest Creek Folkを始めとする50人以上の歌声が吹き込まれ、他者との繋がりによって豊かな広がりを持つ楽曲へと完成されました。

アルバム『tiarn』は、彼女の家族が生まれ育つ前の1990年代に暮らしていた日本(東京)のホームビデオ映像や、1991年に両親が東京で購入したヴィンテージ・シンセサイザーを用いて制作がスタートしました。映像に映る山々や渓谷の風景に音をダイレクトに乗せるアプローチが取られており、作品全体には日本の風や虫の声、空気感といった環境音が散りばめられています。さらに、オーストラリアの静かな海辺の町での孤独な暮らしの中で紡がれたメロディも融合しています。なお、本作は北米や豪州に加え、イギリスのLima Limoと日本のInpartmaintによる共同企画で、ヨーロッパと日本向けのアナログ盤リリースも決定しています。


Vernon Cuda – “Avalon”

かつてSmells Like Nanna’s Houseとして活動していたシンガーソングライターのVernon Cudaが、シドニーへの移住を機に新たなスタートを切り、シンセ主体のポップスから誠実なソフトロックへと方向転換して発表したデビューシングルが「Avalon」です。ルームメイトのJanu Kewish(Cannabyss、Crème Fraiche)が格安で購入したバーガンディ色のトヨタ・アバロンにインスパイアされて生まれたこの曲は、単なる車をテーマにしたフォーク調のソフトロックにとどまりません。過去数ヶ月の自らの失敗や後悔を振り返り、日常の試練や壊れた関係から逃れて自己成長へと向かうための「繭(コトーン)」としての車、そして贖罪へと続くオープンロードが描かれています。

デモは仕事の会議中に急遽書き上げられ、プロデューサーのOndre Davis(Mirror Mirror)とともにMemoir Studiosにてわずか6時間のセッションで形にされました。ヴィンテージのフェンダー・ローズやウーリッツァーのきらめき、そしてメルボルンを拠点とするシンガーソングライターのBrigitte Bardiniによる軽やかなバッキングボーカルが加わり、温かみのあるアナログなアンサンブルが見事に構築されています。これまでの80年代風デジタルシンセサウンドから一転し、彼が「Heart On Your Sleeve Hi-Fi(本音をさらけ出すハイファイ)」と呼ぶ新たな音楽性を提示する本作は、今年後半にリリース予定のEP『Amnesiadesiac』へと続く、新たな旅路の幕開けを飾る1曲です。


Resa Saffa Park – “Forever as Her Friend”

ノルウェー・オスロを拠点に活動するシンガーソングライター Resa Saffa Park のシングル「Forever as Her Friend」は、彼女自身にとって非常に大切な意味を持っていた「友情の終わり」をテーマにした、痛切でエモーショナルな楽曲です。かつては永遠に続くと思われた関係が、自分でも理解できないまま変化し、失われていくことへの戸惑いや未練が描かれています。「愛され、選ばれ、そばに置いてもらいたい」という強い切望と、時に「友達を失うことは、恋人を失うこと以上に深く傷つくことがある」という生々しい痛みが、彼女のジャジーで温かみのある歌声とノスタルジックなメロディに乗せて美しく歌い上げられています。

Henriette Sagfjord が撮影を手掛けたミュージックビデオは、楽曲が持つ寂寥感と、美しくもどこか儚いエモーションを視覚的に見事に捉えています。かつての親密な記憶の断片や、失われた距離感を静かに見つめ直すようなカメラワークが印象的で、リスナーの誰もが一度は経験したことのある「親しかった誰かとの決別」という普遍的な痛みを、静かに、そして優しく包み込むような映像に仕上がっています。サウンドの持つ叙情的な響きとシネマティックな映像美が完璧に溶け合い、胸を締め付けるような余韻を残す作品です。


Mallory Hawk – “Four O’ Clocks”

元 Customer のフロントウーマンである Mallory Hawk のソロ・デビュー・アルバム『Chinook』からリリースされたニューシングル「Four O’ Clocks」は、彼女が6歳から16歳まで過ごしたノースカロライナ州フェイエットビルの実家を題材にした、物思いに沈むような美しい楽曲です。かつて彼女が暮らしたその家は、竜巻による被害を受けた後、軍事基地へのアクセスを良くするための高速道路建設によって市に解体され、現在は出口のランプへと姿を変えてしまいました。二度と訪れることができない場所への喪失感と、予期せぬ形で故郷を離れることになった当時の複雑な心境が、この曲の背景には深く刻まれています。

タイトルの「Four O’ Clocks(オシロイバナ)」は、彼女が学校から帰宅する午後4時頃に咲き誇っていた赤紫色の花に由来しており、当時の香りや景色、風の感触といった鮮烈な記憶を呼び起こす象徴として描かれています。過ぎ去った日々への郷愁と、過去の思い出に浸ろうとしても物理的な場所がすでに存在しないという「味気ない現実」の対比が、ノスタルジックなメロディとともに歌われています。楽曲を美しく彩る、ミュートされたフレンチホルンとフリューゲルホルンの見事な音色が、その哀愁と温かみをより一層際立たせる素晴らしい仕上がりとなっています。


jo from school – “Weight”

「jo from school」によるニューシングル「Weight」は、ウェールズでライブレコーディングされた臨場感と生々しい緊張感を湛えた楽曲です。シンプルに生み出された初期の衝動を宿しながらも、リスナーを深く引き込む親密な音響空間が特徴的。飾らない剥き出しの演奏が生む温かみと、ライブ録音ならではのダイナミズムが、聴き手の心に直接訴えかける仕上がりとなっています。

歌詞においては、愛するがゆえに生じる「重さ(Weight)」や葛藤、そして人間関係に横たわる複雑な感情が詩的に描かれています。「私は愛している、けれどあなたが世界を重くしている」「私が世界を重くしている」といったリリックは、互いを引き寄せ合いながらも疲弊していく、愛と重力のあいだのジレンマを表現しています。素朴な言葉遣いでありながら、鋭く胸を刺すエモーショナルな世界観が表現された一曲です。


Silvertwin – “Goodbye This Time”

ロンドンを拠点とするIsaac Shalamを中心としたバンド「Silvertwin」が、ニューシングル「Goodbye This Time」をリリースしました。FoxygenのJonathan Rado(The KillersやWeyes Bloodなどを手掛ける)がプロデュースした2021年のデビューアルバム『Silvertwin』以来、彼らはクラシックなポップ・ソングライティングの黄金期を彷彿とさせる普遍的なメロディを追求し続けています。「人生のサウンドトラック」のように聴き手の日常に寄り添う楽曲を目指すIsaacのブレのない美学が、本作にも色濃く反映されています。

この新曲は、フロントマンのIsaac Shalamが紡ぐノスタルジックでエモーショナルなソングライティングに加え、Alicia Barisani、Lauric Mackintosh、Antonio Naccache、Chester Caine、Lydia Cochraneといった信頼するバンドメンバーたちとの固い絆によって見事なステージサウンドへと昇華されています。甘美でありながらもどこか切なさを湛えたポップサウンドが展開され、彼らの代名詞である時代を超越したメロディセンスと瑞々しいバンドアンサンブルが存分に堪能できる仕上がりとなっています。

MF Tomlinson – “Heaven Is Other People”

MF TomlinsonがリリースするニューEPの表題曲「Heaven Is Other People」のミュージックビデオは、Carlotta Rosa MarangoneとMichele Grimazによって撮影されました。編集はCarlotta Rosa MarangoneとMF Tomlinson自身が共同で手がけており、楽曲が持つ温かく親密な空気感を映像へと見事に落とし込んでいます。

このビデオは、MF Tomlinsonが父親になって間もない時期の「3人でベッドに入り、3時間しか眠れていないけれど、今ここにある確かな幸せ」という、極めてパーソナルで愛おしい日常の瞬間を表現しています。スタジオでのレコーディング風景や穏やかな日常の断片を切り取ったような映像は、Tom WaitsやMitski、Ron Sexsmithらにインスパイアされたというオーガニックなサウンドとも美しく調和し、静かに希望を紡ぎ出すような作品に仕上がっています。


Nina Winder-Lind – “Headfirst”

ブライトンを拠点に活動するスウェーデン出身のシンガーソングライターであり、ロックバンド The New Eves のメンバーとしても知られる Nina Winder-Lind が、ニューシングル「Headfirst」をリリースしました。本楽曲は、2026年8月14日に Transgressive からリリース予定の彼女のデビューソロアルバム『Wild Love』からの先行シングルです。絡み合うギターと推進力のあるドラムを軸に、抑制されたリズムのグルーヴから、フルバンドによる爽快なクライマックスへと徐々に広がっていく構成が特徴で、彼女のトレードマークであるスモーキーなボーカルが、深く個人的でありながらも野生的な魅力を放っています。

この楽曲は、彼女が近所を散歩しているときに作った口語詩と、GarageBand に「テレビ・ギター(television guitar)」として録音していた変則的な2声ハモりのギターリフという、2つの要素が融合して誕生しました。Nina 自身が「存在の宣言であり、動きと感情への賛歌。これは動物的な歌です」と語るように、直感や生命の躍動感が表現されています。前作のシングル「This Is Our Life」や「Girls」に続く本作は、アルバム『Wild Love』が持つ、喜怒哀楽すべての感情、そしてただ生きていることへの高揚感を祝福するテーマを色濃く反映した1曲となっています。


Savanna Ruth – “Bad Thoughts”

Savanna Ruthが本名名義(旧名義:Burr Oak)としてリリースするデビューアルバム『The Baseball Diaries』から、リードシングル「Bad Thoughts」が発表されました。Local HのScott LucasとBlake Smithがプロデュース、John Agnello(Dinosaur Jr, The Breeders, Red Kross)がミックスを手がけた本作は、歪んだギターと陽光を浴びたようなポップさが同居するサウンドが特徴です。元婚約者とのオープン・リレーションシップへの移行や、別の女性への強い引力に葛藤した実体験に基づいて書かれており、人間関係の複雑さや予期せぬ欲望、そして自己探求のプロセスを包み隠さず描いたエモーショナルな楽曲に仕上がっています。

Todd Diederichが監督を務めたミュージックビデオは、夏のシカゴを舞台に、この複雑な感情の揺れ動きを「故郷」という確かな手触りのある場所に引き寄せています。単なる観光名所の紹介ではなく、Savanna Ruthが幼少期にリトルリーグで汗を流したThillens Stadiumや、夢や憧憬の象徴であるWrigley Fieldなど、自身の歴史が刻まれた本物のシカゴの風景をフィーチャー。ノスタルジーに満ちた思い出の地を巡ることで、過去と現在、幼少期と大人としての葛藤を交錯させ、シカゴの街を彼女自身の内面を映し出すエモーショナルなランドマークへと昇華させています。