ウッドベースと声が重なり合うアヴァン・ポップの新たな地平――ブルックリンのCarmen Quillが2ndアルバム『Harmless』で魅せる交響的スケールと作編曲家としての真価

ブルックリンを拠点に活動するウッドベース奏者、シンガー、そして作曲家のCarmen Quillがリリースしたシングル「Harmless」は、彼女の型破りで緻密なアヴァン・ポップ・サウンドを象徴する楽曲です。Meredith MonkやBjörkを彷彿とさせる独創的かつ極上のメロディラインと、Joanna Newsomのハープのごとく変幻自在なヴォーカルに寄り添うダイナミックなベースラインが融合。心に深く響くマントラのような歌詞とジャズのニュアンスを帯びたアンサンブルが、独自の精神性を美しく描き出しています。

本楽曲をタイトル曲とする2ndフルアルバム『Harmless』は、2026年11月6日にRuination Record Co.よりリリースされます。前作LP『Don’t Get Comfy / Nowhere』(2021年)やトリオプロジェクトtiltでの試みを踏まえ、本作ではより長く、豊かなオーケストレーションを施した多楽章構成の楽曲群を展開。葛藤や変容を描くサウンドは、トゲのある緊迫感からノスタルジックなアンビエントまで、交響曲の展開部のように美しく移ろいでいきます。

今秋前半に発表されたジャズ・バンドリーダー作『I’ll Be Thinking of You on Thursday』での多才なアプローチとも鮮やかなコントラストを成す本作は、Carmen Quillが唯一無二のシンガーソングライター/インプロヴァイザーであるだけでなく、優れた編曲家・プロデューサーであることを決定づける野心作となっています。


Clara Mann – “All My Devotion”

シンガーソングライター Clara Mann が、10月23日に state51 よりリリースされる2ndアルバム『Wishbone』からの最新シングル「All My Devotion」を公開しました。家族から学んだ「他者や生き方、創造に対する献身」を原点に、一途で深い愛を描いたラブソングとなっており、前作『Rift』の内省的なノスタルジーから一歩踏み出し、自らの幸せや美しい人生を素直に望む怖さと強さを提示する情熱的な一曲です。

あわせて公開されたミュージックビデオは、Clara Mann 自身と Jack Cotter が共同監督を務め、Meadow Marks がプロデュースを手掛けました。マリーナ・アブラモヴィチのパフォーマンス作品『Rest Energy』にインスパイアされたというアルバム『Wishbone』のテーマ——互いへの信頼と背中合わせの危うさ——を美しく映し出し、楽曲の持つピュアで切実な情感を際立たせる繊細な映像作品に仕上がっています。


henry o henry – “Parade”

ダブリン生まれで30年間にわたりアメリカで移民・職人として暮らしてきた henry o henry が、最新シングル「Parade」を公開しました。本楽曲は、Western Vinyl より2026年9月18日にリリースされるデビューアルバム『Apocrypha』からの先行トラックです。映画監督の Rick Alverson がプロデュースを手掛け、Eamon O’Leary や Ned Steves らが参加した本作は、形式的なミュージシャンではない彼が壊れたギターを手にしたことから動き出した、深く誠実なプロジェクトとなっています。

「ある場所が自分を解放してくれない時の感覚」を描いた「Parade」は、John Cale や Nick Drake、Leonard Cohen にも通じる詩的で静かな説得力に満ちています。リハーサルなしの即興的なセッションから生まれたオーガニックな演奏と、時空や記憶を静かに交差させる歌詞が融合し、アルバム『Apocrypha』のを持つ重厚で深い情景を鮮烈に提示する一曲に仕上がっています。

Hana Stretton – “From”

英国とオーストラリアを拠点に活動するアンビエント・フォーク・アーティストHana Strettonが、ニュー・アルバム『tiarn』のリリースを目前に控え、最新シングル「From」を公開しました。「Stove」や「Salt」といった先行トラックに続いて解禁された本作は、暗い嵐が上空を覆う中で録音されたもので、彼女の愛犬Rooが隣で眠る中、開け放たれた窓から差し込む風や大気の気配と共に捉えられた神秘的な楽曲です。

ギターの演奏にヘアブラシを使用し、シンセサイザーや小型のハープを重ね合わせた本作について、Strettonは「かたくなで棘のある世界の中で心を頑なにする事なく、自らの嵐をいかにやり過ごすか、そして温もりや優しさを求め続けることについて歌っている」と語っています。彼女の姉であるAmelia Landerが監督を務めたミュージックビデオは、深い霧に包まれた幻想的な映像美で楽曲の持つ浮世離れした世界観を見事に表現しています。

Niki Moss – “Summer Feeling”

ポルトガルを拠点とするアーティストNiki Moss(ニキ・モス)が2026年7月24日にリリースした「Summer Feeling」は、Street Mission Recordsより発売予定のニューアルバムからの第2弾先行シングルです。「Getting to the Bottom」に続く本作は、ジョナサン・リッチマン(Jonathan Richman)の名曲を大胆に再解釈したカバー楽曲。アコースティックでシンプルな原曲の佇まいを一変させ、歪んだ重厚なサウンドとシステマチックなノイズ、そして密集したレイヤー構造によって、原曲が持つノスタルジーと情感を極限まで増幅させています。

テーマ面では、時間の経過や記憶の再構築、そしてサイクルの終わりといったアルバム全体の核心に迫っています。記憶が過去を美しい思い出へと改変してしまう曖昧さや、「未来になってから初めて現在の価値に気づく」という切ない後悔を、シンセポップやインディ、オルタナティヴ・ロックが融合した密度のあるサウンドに乗せて描出。アルバムが持つ感情的な物語の中核を担う、刺激的かつノスタルジックな重要曲に仕上がっています。

Resavoir & Matt Gold – “Ela / Lua”

マルチプレイヤーであり作曲家/プロデューサーのWill MillerによるプロジェクトResavoirと、同じくギタリスト/プロデューサーのMatt Goldがタッグを組んだシングル「Ela / Lua」は、著名な音楽ブログ『Aquarium Drunkard』の人気企画「Lagniappe Sessions」のために録音された作品です。本作は、二人が多大な影響を受けたブラジル音楽の巨匠Caetano VelosoとMario Adnetの名曲カバー2曲をカップリングしたシングルであり、彼らの豊かなルーツを垣間見ることができる特別なプロダクションとなっています。

このシングルは、二人のコラボレーション・アルバム『Horizon』のリリース1周年を記念したファンへのギフトであると同時に、同作のオーガニックでドリーミーなサウンドスケープがいかにして育まれたのかというインスピレーション源を提示する内容でもあります。削ぎ落とされたアコースティックなアレンジの中に、ResavoirとMatt Goldならではの穏やかなサイケデリアが息づいており、ミニマルながらも深い心地よさを湛えた極上のアコースティック・ジャズ・フォークに仕上がっています。


Phoebe Bridgers – “Lost Boys” (Acoustic)

シンガーソングライターのPhoebe Bridgersがデジタルリリースした「Lost Boys (Acoustic)」は、2026年8月14日にDead Oceansから発売予定の3枚目のソロアルバム『Lost Weekend』からの先行シングル「Lost Boys」のアコースティック・バージョンです。オリジナル版は、精巧なアコースティック・ギターのフィンガーピッキングや木管楽器、さらにはboygeniusのメンバーらのコーラスを配した壮大でオーガニックなインディー・ポップサウンドが特徴ですが、このアコースティック版では楽曲が持つ剥き出しのエモーションと美しいメロディの骨組みがよりストレートに引き出されています。

米人気テレビ番組『The Tonight Show Starring Jimmy Fallon』にサプライズ出演した際には、オリジナル版を8〜14歳の気鋭のキッズ・ミュージシャンたちと披露したのに対し、このアコースティック版ではベテランのミュージシャン陣をバックに従えて consecutive(連続)でパフォーマンスを行い大きな話題を呼びました。歌詞の中では「ピーターパン」のロスト・ボーイズをモチーフにしながら、現代のスマートフォンやインターネット社会の閉塞感、そして記憶と未来の狭間で揺れる人間関係が切々と歌われており、彼女のトレードマークである繊細でダークな世界観が親密なアコースティックのアレンジによっていっそう深く心に響く仕上がりとなっています。


jo from school – “Weight”

「jo from school」によるニューシングル「Weight」は、ウェールズでライブレコーディングされた臨場感と生々しい緊張感を湛えた楽曲です。シンプルに生み出された初期の衝動を宿しながらも、リスナーを深く引き込む親密な音響空間が特徴的。飾らない剥き出しの演奏が生む温かみと、ライブ録音ならではのダイナミズムが、聴き手の心に直接訴えかける仕上がりとなっています。

歌詞においては、愛するがゆえに生じる「重さ(Weight)」や葛藤、そして人間関係に横たわる複雑な感情が詩的に描かれています。「私は愛している、けれどあなたが世界を重くしている」「私が世界を重くしている」といったリリックは、互いを引き寄せ合いながらも疲弊していく、愛と重力のあいだのジレンマを表現しています。素朴な言葉遣いでありながら、鋭く胸を刺すエモーショナルな世界観が表現された一曲です。


Rachel Bobbitt – “Crosses”

Rachel Bobbittのシングル「Crosses」は、彼女自身が作詞・作曲を手がけた、深く心に染み入るエモーショナルなインディー・フォーク調の楽曲です。歌詞では、道路脇の十字架(亡くなった人を悼む印)や広大な海といったモチーフを通して、人間の存在の小ささや脆さを描き出しています。同時に、親密な関係性の中に潜む嘘や葛藤、「自分にはふさわしくない誰かの隣に横たわっているときの、体がこれ以上ないほど小さく感じられる感覚」といった、内省的でヒリヒリとした人間の心理を、美しくもどこか恐怖を孕んだ自然の描写と重ね合わせて表現しています。

シングルと同時に公開されたビデオ(映像作品)は、この楽曲が持つ「美しさの背景にある恐怖や不条理」という世界観を視覚的に補完しています。波が容赦なく打ち寄せる海の果てしない広がりや、行き止まりの問い(culdesac of questions)に苛まれる内面世界を映し出すかのような映像美が展開され、彼女の透き通るようなボーカルとアコースティックなサウンドに寄り添います。リスナーは聴覚と視覚の双方から、Rachel Bobbittが紡ぐ詩的でどこか物憂げな物語の世界へと深く没入することができます。


名門4ADから放たれる新世代サイケデリック・フォークの旗手「@」が、悪魔学を背景に謎めいた破局を描く7分間の壮大なリードシングル「Autosmile」とともに待望のニューアルバムを発表

フィラデルフィアを拠点とするマルチ奏者・ソングライターのVictoria RoseとStone Filipczakによるアート・フォーク・ユニット、@(アット)が、4AD移籍後初となるフルアルバム『Autosmile』のリリースを発表し、同時にそのリードシングルであるタイトル曲「Autosmile」を公開しました。2023年のデビュー作『Mind Palace Music』などで新世代サイケデリック・フォークの旗手として絶賛された彼らにとって、今回のシングルは約7分間におよぶ壮大な重要作。悪魔学(デーモノロジー)への問いかけを通して謎めいた破局を描き出す、極めて独創的でアート性の高いナンバーに仕上がっています。

全11曲で構成されるアルバム『Autosmile』は、それぞれが独立して作業した後に互いの楽曲を完成させるという彼ら特有のソングライティング・プロセスを経て制作されました。ささやかな機材を用いて主に自宅で録音(ホームレコーディング)され、親しい友人たちによるチェロ、バイオリン、ドラムの演奏で豊かに彩られた本作は、ローファイな手法を驚くほど瑞々しく没入感のあるサウンドへと変貌させています。アルバムの聴きどころには、タイトル曲のほか、ノスタルジックな「I Know You Are (But What Am I Thinking)」や、複雑なアレンジが光る「Punish My Mind」などが挙げられ、変化や喪失、自己反省といったテーマを深く探求しています。

本作は、忘れがたいフォークの質感、プログレッシブな装飾、インディー・ポップのフック、そして映画のような美しさの間を軽々と移動しながら、美しさと痛み、ユーモアと重大さといった「対比」を鮮烈に描き出しています。不確実な現代において好奇心や繋がり、変容の可能性を提示する、彼らの最も成熟した最高峰のパートナーシップを示す作品です。なお、アルバムのリリースに合わせて北アメリカ、イギリス、ヨーロッパを巡るツアーも予定されており、レーベルメイトであるYHWH NailgunやThis is Loreleiとの共演ステージも含まれています。

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