成功の幻影に妥協しないアーティストの矜持──Black Marbleが5年ぶりの新作で放つ、シンセの壁を脱ぎ捨ててミニマルな真実に迫るインディー・ポップの極致

成功の幻影に妥協しないアーティストの矜持──Black Marbleが5年ぶりの新作で放つ、シンセの壁を脱ぎ捨ててミニマルな真実に迫るインディー・ポップの極致

シンセポップ・アーティストChris Stewartによるソロ・プロジェクトBlack Marbleが、前作から5年ぶり、通算5作目となるニューアルバム『Life in Small Spaces』を8月21日にSacred Bonesからリリースすることを発表し、先行シングル「Jim Carol New Year」のMVを公開しました。本作は、音楽業界の内側を見た彼が、アンダーグラウンド・ミュージックの変化やアーティストが直面するプレッシャーを真摯に分析した作品です。まやかしの成功のために自らの価値観を妥協せず、創造的な自由のためにあえてミニマルな生き方を受け入れることへの確固たるメッセージが込められています。

本作のサウンドは、これまでの代名詞だった重厚なシンセサイザーの壁から離れ、よりギター主導のアプローチへと進化を遂げています。PylonやThe Necessariesといったアメリカの初期カレッジ・ラジオを彷彿とさせるスタッカートなギターラインや、ポストパンク・バンドWireにインスパイアされた無機質でシンプルなドラムサンプリングを導入し、まるで「2つのステーションの間にあるラジオのダイヤル」のような、チャイムのように催眠的でノスタルジックな音響空間を作り出しています。

孤独な部屋で紙吹雪に包まれる彼を捉えたアートワークの通り、本作は「制限を明快さの形として受け入れること」を表現しています。Clayton Huntが16mmフィルムで撮影した先行シングルの映像が示すように、それぞれの旅路を象徴する2人の旅人が遠くの家に引き寄せられていく物語は、過酷な現実の中で理想を貫くアーティストとしての歩みそのものです。華やかな音楽性の中に内省的な叙情詩を潜ませ、自分の現在地を誇り高く提示する、アーティストとしての強い自信とコミュニティへの信頼が詰まった1枚に仕上がっています。