U.S. Girls – Scratch It

U.S. Girlsの背後にいるヴィジョナリー、Meg Remyは、2024年初頭にトロントの自宅から1000マイル以上離れたアーカンソー州ホットスプリングスのフェスティバルに出演するオファーを受けました。そこで彼女は、ナッシュビルを拠点とする友人Dillon Watson（D. Watusi、Savoy Motel、Jack Name）に、その場限りのバンドを編成してくれるよう依頼しました。ショーは大成功に終わり、彼女はその勢いを、即席バンドが最初にリハーサルを行った音楽の都ナッシュビルへと持ち帰り、『Scratch It』の制作へと繋げました。

わずか10日間で、Remyと彼女のバンド――ギターのWatson、ベースのJack Lawrence（The Dead Weather、The Raconteurs、Loretta Lynn）、ドラムスのDomo Donoho、キーボードのJo SchornikowとTina Norwood、そしてハーモニカのレジェンドCharlie McCoy（Elvis、Bob Dylan、Roy Orbison）――は、『Scratch It』をほぼオーバーダブなしのライブレコーディングで、テープにミックスしました。

親密さと気安さがこの中心となるバンドから滲み出ており、Remyの唯一無二の歌声がすべての楽曲の上で輝き、これまでで最もリラックスしたサウンドとなっています。

アルバムのオープニングトラック「Like James Said」は、ELO風のAMラジオで流れるような珠玉の楽曲です。一人で踊る力の賛歌であり、James Brownの「Get Up Offa That Thing」への歌詞による応答でもあります。先行シングルの「Bookends」――Edwin de Goeijとの共作による12分に及ぶ壮大なバラード――はアルバムの中心をなし、John Careyの『Eyewitness to History』を通して、亡くなったPower TripのフロントマンRiley Galeに敬意を表しています。その後、不気味なディストラック「No Fruit」では、WatsonのワウギターがRemyの痛烈で詩的な予言を際立たせており、それは恋人に向けているのか、より大きな現代世界に向けているのか定かではありません。

『Scratch It』は、カントリー、ゴスペル、ガレージロック、ソウル、ディスコ、フォークバラードなど、様々なジャンルを織り交ぜており、Remyの卓越したソングライティングが全体を通して貫かれています。以前のアルバムのコンピューターベースのプロダクションを捨て、2インチのテープを選んだことが、楽曲に見事に貢献しており、20年近くレコードを作り続けてきたアーティストならではの音の変容という要素を導入しています。もし本能が楽器なら、Remyはまさに名手でしょう。『Scratch It』を試してみてください。