TV Victor – GRV Vol. 3 EP

Tresorのベテラン、TV Victorが Tresor30周年のさなか、2枚のEPを携えて帰ってきた。Tresorがスタートする以前から、Udo Heitfeldは Dimitri Hegemannや Günther Schickertらと共に1987年に No Zen Orchestraを設立している。後に Tresor Recordsとなる Interfischからリリースされた最初の作品は、Fischbüro（折衷的でダダな実験のためのスペース）に集まったクルーが、ノンコンフォームの催眠サイケデリックロック実験をリリースし、その後89年に Big Sexからソロデビューしたアルバム ‘Moondance’、94年に Tresorからの最初のリリース ‘Trance Garden 1-3’ が発表されました。

TV Victorからリリースされた ‘GRV Vol.2+3′ は、この30年後のサーガを引き継いでいます。’GRV Vol.1’ は2010年に Tobias Freundと Max Loderbauerのレーベル Non Standard Productionsからリリースされ、この新章は ‘GRV Vol.1′ の続きとなる。’GRV Vol.3’ では、ハイトフェルドの音世界がさらにヒプノティックでトランスを誘発するような一面を見せている。

“GRV Tr 5” では、Jaki Liebezeitの “Motorik Beat” を彷彿とさせるドラムと、Canの時代から続くドローンが交錯し、常に成長を続ける作品としてスタートする。ドラムとパーカッションのレイヤーは、EP全体を通して、容赦なく存在する。時に癒し、時に脅威となり、ムードや精神状態は刻々と変化するが、それでも普遍的な感覚を伝えている。物事が一定の波で前進する一方で、星を見るように繰り返される微妙に変化するアトモスフェリックは、空間と時間の感覚を無限に崩してしまう。

次に何も起こらないとき、多くのマジックが起こる。